2008年4月17日

自衛隊のイラク派遣に関する名古屋高裁の判決について(談話)

社会民主党
 党首 福島みずほ

 本日、名古屋高裁において、自衛隊のイラク派遣は違憲として、愛知県の弁護士と全国の住民らが国を相手に、派遣差し止めと慰謝料などを求めた訴訟の控訴審判決が出された。

 派遣差し止め請求を却下し慰謝料請求も棄却したことは残念である。しかし、「自衛隊の活動、特に航空自衛隊がイラクで現在行っている米兵等の輸送活動は、他国による武力行使と一体化したものであり、イラク特措法2条2項、同3項、かつ憲法9条1項に違反する」との判断を下した。

 加えて判決では、平和的生存権は全ての基本的人権の基礎にあってその享受を可能ならしめる基底的権利であるとし、単に憲法の基本的精神や理念を表明したにとどまるものではないとし、平和的生存権の具体的権利性を正面から認めた。

 自衛隊のイラク派遣について裁判所から違憲判断が示されたのはまさに初めてであり、わが国の憲法裁判史上、高く評価される画期的かつ歴史的な判決である。

 この判決は、この裁判の原告となった3000名を超える市民が声を上げ続けた結果、生み出されたものである。全国的には同種の訴訟に立ち上がった市民は5500名を超えており、日本と世界の市民の平和を希求する思いが、この判決を生み出したと言える。

 また、この判決は、社民党が国会の内外で繰り返し主張してきたことを認めたものである。政府は、違憲行為をしてきたことを、厳しく反省すべきである。

 わが国は三権分立を統治原理とし、かつ法の支配を統治原理としている立憲民主主義国家である。三権の一つであり、かつ高等裁判所が下した司法判断は、法の支配のもとでは最大限尊重されるべきである。政府は、立憲民主主義国家の統治機関として、自衛隊のイラク派兵が違憲であるとした司法判断に従うべきである。

 社民党は、政府がこの判決に従い、直ちに自衛隊がイラクから撤退することを強く求めるものである。

以上