2008年7月30日 

WTO新ラウンド農業交渉の決裂にあたって(談話)

社会民主党農林水産部会長 菅野哲雄

1 ジュネーブで行われていたWTO農業交渉は、米国と中印による農産物の緊急輸入制限をめぐる対立などから土壇場で決裂した。今後の交渉は不透明だが、農産物の輸入拡大に道を開いたことは大きな不安が残る。
 鉱工業製品と同様に農産物を扱い、一律の関税引下げなど農業保護の削減により経済効率のみを追求する自由貿易でいいのか、また先進国と新興国・途上国、輸出国と輸入国が対立を繰り返し、世界的な食料高騰に対しても何ら解決策を見いだせず、米国の輸出補助金も現状維持、農業の多面的機能の発揮や各国農業の共存も期待できないなどWTOの限界が表れている。

2 日本政府は、「多様な農業の共存」、「守るべきものは守る」、「悪い合意はしない」としてジュネーブに大臣が乗り込んだが、当初の方針では関税の大幅な削減から除外できるコメなど重要品目の数は10%以上確保するとしていたにもかかわらず、見通しもないままいきなり8%に要求を下げ、調停案の「原則4%、条件・代償付きでプラス2%」についても強く反対せず、結果的に受け入れるかのような姿勢を見せた。また、代償となる低関税輸入枠の増加についても、減反させられているコメや乳製品など国民の基礎的食料が今後輸入枠の拡大を強いられることから、自給率の向上も不可能となる。
 これらを前提とした農業交渉が進めば、輸入農産物は増加し、農家の生産意欲がなくなるなど国内生産に大きな打撃をあたえ、日本の食料・農業・農村の崩壊が進む恐れがある。
 今後、政府の交渉姿勢、農産物の貿易のあり方など臨時国会で厳しく追及していきたい。

3 日本は輸入農産物の関税が高いと言われるが、食料の6割を輸入に頼り、農産物の平均関税率が約12%とかなり低い水準にある。国民の基礎的食料であるコメや乳製品など高関税の重要品目は農産物全体の1割に過ぎず、野菜など残り9割の農産物は低関税にあり、すでに十分市場開放し過ぎている。
 6月の食料サミットでも、食料安全保障は恒久的な国家の政策であるとし、食料生産の強化、農業投資の拡大が強調され、農民や小規模農家の生産拡大のための支援が宣言されている。まず各国の農業者が安心して生産を続け、輸入国の農業生産を増やすことが重要である。

4 社民党は、行き過ぎた貿易市場主義、削減されてきた国境措置を根本から見直し、WTOによる自由貿易が国の食料安全保障を弱め、一次産業の衰退を招き、環境負荷を高めることなどを考慮し、食料増産や各国の農業基盤の強化、環境保全、食の安全など農業の価値を高める公正かつ新たな貿易ルールの確立を追求していく。

以上


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