2008年8月11日 

2008年人事院勧告について(談話)

社会民主党幹事長
重野安正

1.人事院は本日、月例給及び一時金の改定を据え置くことを中心とする勧告を行った。民間との較差が小さかったことから、改定が見送られたが、エネルギー・生活関連物資の一斉値上げが国民生活を直撃し、格差問題が深刻化する中、公務労働者はじめ、人勧の影響する中小・地場産業で働く労働者などの期待に応えることができなかったことはきわめて残念である。

2.勤務時間の見直し勧告は、公務員の所定の勤務時間を、過去6年の民間企業の実態に合わせるものであり、勧告通り実施する閣議決定を行い、勤務時間法改正案の早期提出をすべきである。ワーク・ライフ・バランスを推進する観点からも、実施は時の流れであって、財政再建のスケープゴートとするなど勧告を政治の道具とすべきではない。また、超過勤務の縮減については、さまざまな取組みを組み合わせることによって、実効性が上がるよう、より一層努力すべきである。

3.住居手当については、来年の勧告に向けて、自宅に係る住居手当の廃止の検討を進めるとのことであるが、廃止ありきではなく、今後とも関係団体と十分な交渉・協議を行って結論を出すべきである。また、交通用具使用者に係る通勤手当の改定は見送りとなった。しかし、通勤手当については必要経費の実費弁償であり、最近のガソリン価格の高騰で地方ほど極めて状況は厳しく、引き続き検討を求めたい。

4.今回新設される本府省業務調整手当については、@職務給の原則から見ても給与制度上大きな問題がある、A手当の原資を生むため、本府省以外で働いている人の原資を削ることになる、B行(二)に適用されないことや税務、公安で下がるケースがあるなど、問題が多いことから、一方的な勧告は遺憾である。本府省の問題は、手当導入ではなく、超勤縮減に取り組み、抜本的な労働時間短縮を図ることが先ではないか。

5.国家公務員の場合、常勤職員約30万人に対し、約14万5000人にものぼる非常勤職員は、「法の谷間」におかれ、低賃金で不安定な雇用・労働条件にある。給与決定のガイドラインの設定は、解決に向けたスタートとして評価できるが、あくまでも「官製ワーキングプア」問題の解決に向けた一歩にすぎない。財政難を理由にした人件費の削減政策や、経費節減のみを追求した民間委託、事務・事業の安値発注などにもメスを入れる必要がある。公共サービスの質の向上の観点からも、非常勤職員の位置づけや雇用・任用など制度のあり方等について、関係者間で本格的な検討を開始し、職務に見合った処遇の実現を図るべきである。

6.2009年度からの新たな人事評価制度の本格実施は、人件費削減が自己目的であってはならない。任用や給与への活用についても、一方的に行うのではなく、制度の信頼度・成熟度に応じた公正・公平で納得性あるものにすることが不可欠である。

7.格差が拡大し、安心と安全が失われている今、社会を取り巻く不安や閉塞感の原因をただし、人々が安心して希望が持てる社会を作っていくことが求められている。そのためにも、豊かで良質な社会的公共サービスの提供が不可欠である。今後、国家公務員制度改革基本法に基づき、公務の労使関係はじめ様々な課題についての検討が具体化してくるが、社民党は、国民のための民主的で透明な公務員制度への改革の実現に全力で取り組む決意である。

以上