2008年10月15日
社会民主党幹事長
重野安正
本日、衆議院本会議において内閣提出の「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(補給支援特措法)と民主党提出の「国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案」(第168回国会、参議院提出)の採決が行われた。社民党は、ブッシュ政権が開始した「テロとの戦い」を支援するために2001年に作られたテロ特措法を引き継ぐ今回の法案ならびに民主党案に反対した。
7年間が経過したにもかかわらず、アフガニスタンの情勢は混乱が続いている。ブッシュ政権がまもなく終わろうという今こそ、米国の「対テロ戦争」を検証し、これへの協力を見直す好機である。昨年の補給支援特措法の審議にあたって様々な問題が表面化し、議論された。とくに自衛隊が給油した燃料のイラク戦への転用疑惑、給油量の取り違えや航泊日誌の誤廃棄など情報隠ぺいの疑惑など、給油活動に直接かかわる多くの問題が指摘された。政府与党はこれらの問題を十分に解明することなく、しかも参議院で否決されたものを衆議院の3分の2条項を用いて再議決し、強引に成立させた。
今回の法案には、それらをきちんと総括する視点はまったく見られず、給油された燃料の使途も交換公文で海上補給支援が約束されれば、それ以外の流用を検証しないままとなっている。
加えてこの間、イージス艦あたごの衝突事件、自衛隊員のいじめによる自殺や異常な訓練中の死亡事件など、不祥事が頻発している。その非公開性、隠蔽体質も含めて、自衛隊そのものの中に人権意識が極めて希薄と言わざるをえない。自衛隊のイラク派遣や外国の軍艦への給油など、平和憲法を踏みにじる行為が、人権を軽視してもかまわないという危険な風潮を生んでいることに懸念を表明する。
なお民主党提案の「国際的なテロリズムの防止及び根絶のためのアフガニスタン復興支援等に関する特別措置法案」は、人間の安全保障の理念を取り入れるなど政府案と比べ評価できる点もあるが、停戦合意を前提としつつも自衛隊の地上部隊を派遣し武器使用基準を緩和するなど、軍事と人道復興支援の境界を取り払うものであり反対する。
社民党は、重要な法案であるにもかかわらず衆議院での審議があまりにも少ないことに抗議する。今後は、参議院においてしっかり議論し、法案の問題点を明らかにしていく。
以上