2008年12月12日
社会民主党党首
福島みずほ
本日、参議院本会議において内閣提出の「テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案」(補給支援特措法)の採決が行われた。社民党は、ブッシュ政権が開始した「テロとの戦い」を支援するために2001年に作られたテロ特措法を引き継ぐ今回の法案に反対した。参議院は与野党逆転しているために、法案は否決された。しかし、与党側はただちに衆議院本会議を開き、再議決に持ち込み、3分の2条項を用いて成立させた。これは、国民の中で大きく意見が分かれている事柄を強引に延長しようとするものであり、多数による横暴といわなければならない。社民党は、イラクにつづいてインド洋からも自衛隊が撤退することを求める。
7年間が経過したにもかかわらず、アフガニスタンの情勢は混乱が続いている。ブッシュ政権がまもなく終わろうという今こそ、米国の「対テロ戦争」を検証し、これへの協力を見直す好機である。昨年の補給支援特措法の審議にあたって様々な問題が表面化し、議論された。とくに自衛隊が給油した燃料のイラク戦への転用疑惑、給油量の取り違えや航泊日誌の誤廃棄など情報隠ぺいの疑惑など、給油活動に直接かかわる多くの問題が指摘された。今回の法案でも、それらをきちんと総括する視点はまったく見られず、給油された燃料の使途も交換公文で海上補給支援が約束されれば、それ以外の流用を検証しないままとなっている。今臨時国会のはじめに、民主党が審議を簡略にして、法案の採決を急ぐという戦術を取ったことも、追及が不十分になった一要因である。
加えてこの間、イージス艦あたごの衝突事件、自衛隊員のいじめによる自殺や異常な訓練中の死亡事件など、不祥事が頻発している。その非公開性、隠蔽体質も含めて、自衛隊そのものの中に人権意識が極めて希薄と言わざるをえない。自衛隊のイラク派遣や外国の軍艦への給油など、平和憲法を踏みにじる行為が、人権を軽視してもかまわないという危険な風潮を生んでいることに懸念を表明する。
政府与党が3分の2条項を乱用して法案を成立させることを、これ以上許すことはできない。社民党は、自民・公明政権の横暴を阻止するためにも、衆議院の解散総選挙によって、与野党逆転を勝ち取っていく。
以上