2009年1月27日

2008年度第二次補正予算案の成立に当たって(談話)

社会民主党幹事長 重野安正

1.本日、2008年度第二次補正予算案が成立した。昨日の参議院本会議で、社会民主党は、定額給付金に係る予算を削除した参議院回付案に賛成の立場でのぞんだが、直近の民意である参議院で示された2兆円の定額給付金を削除すべきとの国民の声は、衆議院における与党の多数によって葬り去られた。昨日から開かれた両院協議会においても、民意を背景に与党側に定額給付金部分の削除を求めたが、最終的に与党側に押し切られた。

2.定額給付金については、各種調査で明らかなように、7〜8割の国民が望んでいない。しかも、財源的に消費税増税とセットであり、3年後に消費税率を引き上げるなら、財布の引き締めにしかならない。単なるバラマキにすぎず、この間「痛み」を押しつけられてきた国民の不安解消には全くつながらない。しかも、予算上「家計緊急支援対策費」といいながら、減税の恩恵を受け、税金で支援すべき必要のない高額所得者や資産家も対象になっている矛盾があり、不公平を拡大することになる。さらに、勝手に自治事務を創設し、都合の悪い部分を丸投げする一方、自治体の自由な工夫を否定するものとなっており、分権・自治に反する。郵送料・振込料など事務費に825億円もの費用がかかる。以上のような理由から、社民党は、民主党・国民新党とともに、定額給付金に係る予算を削除する共同修正案を提出して審議に臨んだ。

3.2兆円あるならば、学校の耐震化や介護の充実、雇用対策など「いのちやみどり」の分野に集中投下する「ヒューマン・ニューディール」に使うべきである。事務費の一部を回すだけで、母子加算の廃止を止めることができる。少なくとも与野党で協議し、国民が一番望んでいる使い方を見いだすべきであったと考える。

4.今回の補正予算案には、国民生活やいのちを大切にする野党を意識して、介護従事者の処遇改善や人材確保、中小・小規模企業支援の拡充、学校等の耐震化の推進、緊急雇用創出事業の創設など、社民党の提案や要求も一部盛り込んでいる。一方、クラスター爆弾に代わる精密誘導弾の整備費、コマーシャルペーパーの購入や不動産業界への融資、保証枠の拡充をはじめとする大企業支援策、一回限りの子育て応援特別手当など、個別には認めがたいものも含まれている。したがって、参議院予算委員会では修正案に賛成、修正部分を除く原案に反対の態度をとったが、本会議においては、野党共闘の成果及び直近の民意である参議院が国民の定額給付金を削除すべきとの思いを代弁することが大事であるということを重く受け止めて対応した。

5.今後、定額給付金の問題については、引き続き参議院における補正予算関連法案の審議において追及していく。また、政府四演説に対する代表質問や2009年度本予算案が論戦のテーマとなってくるが、麻生内閣は定額給付金にこだわり自らの政権延命に汲々とするばかりで、すでに「経済の麻生」といっても無為無策で、「選挙の麻生」といっても支持率は危険水域まで割り込んでいる。社民党は、消費税問題、道路特定財源の一般財源化問題、派遣法改正をはじめとする雇用問題、年金の国庫負担の引き上げ問題、退職した国家公務員の「渡り」などの天下り問題、「かんぽの宿」一括譲渡問題、ソマリアへの自衛隊派遣問題などについて、麻生内閣を徹底的に追及し、解散・総選挙に追い込む決意である。

以上


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