2009年2月27日

2009年度予算案の衆議院通過にあたって(談話)

社会民主党幹事長
重野安正

 本日、衆議院本会議において、2009年度政府予算三案(一般会計予算、特別会計予算、政府関係機関予算)の採決が行われた。社民党は、採決にあたって、反対した。

 審議がまだまだ不十分であるため、社民党は、本日採決をすること自体に反対である。予算の責任者である中川昭一前財務・金融大臣は、G7の会議で国際的醜態をさらしたことにより、審議途中で辞任した。前代未聞の事態である。国民に心から語る言葉を持たない麻生首相はぶれ続きの答弁をし、加えて「かんぽの宿」問題に象徴される民営化・改革利権の疑惑も未だその全容は解明されていない。

 麻生内閣が「生活経済防衛予算」と位置づけている2009年度予算は、過去最大の予算規模に膨らんでいる。しかし、進行する地球温暖化に加えて未曾有の金融・経済・雇用の危機を前に、まず国民の安心・安全を確保し、大きな時代の転換点として、日本の将来、子ども達の未来を切り開くことが求められていたにもかかわらず、内容はそれとはほど遠いものといわなければならない。反対した理由は、以下のとおりである。

 第一に、年金をはじめとする社会保障の空洞化に何ら対処せぬままに、消費税増税に誘導する予算である。非正規雇用に対しての企業の社会的責任を問わず、不足する社会保障財源を消費税に置き換えるのは、あまりに不公平・不公正である。

 第二は、すでに破綻した社会保障費の自然増2200億円の抑制目標が今もって継続されていることである。国民の批判の高い後期高齢者医療制度は廃止されず、「医療や介護の崩壊」をくい止めるための処方箋もない。雇用調整助成金の拡充などが盛り込まれてはいるが、「派遣切り」の悲鳴がこだまし、急速に悪化している雇用への対策としてはまったく不充分である。

 第三は、道路特定財源の一般財源化が「骨抜き」に終わってしまった。新設される一兆円規模の「地域活力基盤創造交付金」は、福田前首相が打ち出した「生活者財源」でもなく、麻生首相が明言した「地方が自由に使える」資金でもなくなってしまった。

 第四は、米軍がらみの予算が大幅に増やされていることである。在日米軍再編関係経費は689億円と08年度当初の3.6倍になっている。今後、米軍再編が本格化する中で、米軍関連の負担が膨大なものにふくれあがる可能性がある。

 第五は、1兆円の経済緊急対応予備費である。支出には原則事後の国会承諾が必要とはいえ、予備費の増加は予算支出での政府の裁量拡大につながる。なによりも、総選挙直前の「最後のバラマキ」の原資になりかねない。

 そのほか、9年連続マイナスの農林水産業予算、借金頼みの地方財政等々、多くの問題が含まれており、自民・公明政権によるつじつま合わせの予算はもう限界である。

 いま政治に求められることは、エネルギー政策を大胆に転換し、金融、外交、環境面でのアジアをはじめとする全世界との国際協調と連帯の推進である。社民党は、福祉や医療、教育、環境分野を中心とする「いのちと緑の公共投資」(「ヒューマン・ニューディール」)を進め、国民生活再建・内需主導型の経済構造を確立することを求めていく。

 なお、共産党提出の「撤回のうえ編成替えを求めるの動議」については、十分に検討する時間的余裕もなく、反対した。 

以上