2009年3月31日

国家公務員法等一部改正案の閣議決定に当たって(談話)

社会民主党幹事長
重野安正

1.本日、国家公務員法等の一部を改正する法律案が、閣議決定された。天下り禁止の強化など国民のニーズに応えるための改革とすべきであるにもかかわらず、縦割り行政の弊害を除くという一昨年の国家公務員制度改革基本法の趣旨から逸脱して、過度の権限集中により、現行の中立機関(人事院)による中立・公正機能を大きく損ねるとともに、一般公務員に対しては労働基本権制約の代償機能を形骸化するものとなる。加えて、族議員と特権官僚の争いの中で、「内閣人事局」の組織のあり方や名称、局長の位置づけ等の基本部分が二転三転するなど、組織いじりに陥り、生煮え法案に堕してしまった。

2.人事院が行っている採用・任用・研修の企画・立案機能を内閣人事局へ移管することとされているが、人事行政の政治からの中立・公正性を損なうおそれがある。また、基本法には無かった級別定数の内閣人事局への移管規定は、一般職員を含めた全人事権を内閣府が握るに等しく、基本法の枠組みを大きく踏み越えているといわざるをえない。

3.労働基本権問題の先行きが見通せないまま、中立的な人事院の機能を奪って、強大な使用者権限を持つ内閣人事局を設置することは、一方的に使用者機関のみを強化するものである。また、内閣総理大臣は、人事院規則の制定改廃に関し、人事院に対し意見を申し出ることができるとの規定も、中立性への干渉だが、少なくとも職員団体からも同等な意見の申し出ができるようにしなければ、代償措置の空洞化になりかねない。何よりも、労働基本権付与の検討が蔑ろにされていることは大きな問題である。

4.幹部職員であっても人事が時の政府の恣意によって行われてはならない。幹部職員の任用の弾力化は、大臣・与党による情実人事や、良心的反対意見者の身分保障を損ねるおそれがある。また、「国家戦略スタッフ」の配置も、「全体の奉仕者」を忘れ権力者のみに奉仕する「超特権的官僚層」を形成しようとしている側面や、官民交流の一層の拡大など、「財界のための奉仕者」づくりとの疑問もある。そのほか、定年延長の進め方、早期退職勧奨を見直す新人事制度の具体策、高齢職員の給与抑制などの面でも問題が多い。

5.格差や貧困が拡大する中、社会の共同事業としての良質な公共サービスの役割は高まっており、その確保・拡大と中立性保障の基盤となるような公務員制度の改革でなければならない。社民党は、縦割り行政や、中央集権・官僚主導を打破し、国民のための民主的で透明な公務員制度への改革の実現に全力を挙げたい。

以上