社会民主党幹事長
重野安正
本日、衆議院本会議と参議院本会議において、内閣不信任案ならびに首相問責決議案の採決がそれぞれ行われた。社民党は、両議案の提出者に加わるとともに、本会議では両院ともに賛成票を投じた。
衆議院では不信任案が否決されたものの、参議院では問責決議案が可決された。国民の間には、麻生内閣に対する厳しい批判が日増しに高まっており、問責決議案の可決は、そのことを国会の場ではっきりと示したものである。
信任できない理由の第一は、リーダーシップのなさである。定額給付金の取り扱いや郵政民営化の評価、厚生労働省分割問題についても、方針を二転三転させた。起死回生策として、閣僚・党役員人事に手を付けようと画策したが、これにも失敗した。リーダーシップのかけらもない麻生首相にこれ以上、日本の舵取りを任せることはできない。
第二の理由は、経済対策についてである。「百年に一度」という金融・経済危機の中で、麻生首相は「小泉構造改革」路線からの明確な転換を図るのではなく、政権延命のための無原則なバラマキや大企業・大金持ち優遇策、特定業界の支援策を繰り返し実施した。そして、そのツケを消費税大増税の形で勤労国民や社会的弱者に負わせようとしている。
第三の理由は、郵政民営化の負の問題への対応である。かんぽの宿などの国民共有の資産売却にあたって、不透明な取引や手続きが表面化し、郵政民営化が国民・利用者不在の「改革利権」のぶんどり合いだったことが明らかになった。しかし麻生首相は、西川社長を続投させ、続投に否定的だった鳩山大臣を更迭した。これでは、疑惑隠しに手を貸したと言わざるを得ない。
第四の理由は、外交・安全保障問題である。インド洋における自衛隊給油活動の継続、ソマリア海賊対処を名目にした自衛隊派遣、「グアム移転協定」の推進、普天間基地の県内移設や辺野古への新基地建設など、アメリカに追随した憲法違反の所行は認められない。
第五の理由は、政治とカネの問題である。麻生政権は、発足当初から、談合で排除勧告を受けた問題企業などから献金を受けていた閣僚や党幹部が続出し、西松建設疑惑では、二階大臣が告発され、与謝野大臣らへの先物会社による迂回献金疑惑も浮上している。これらに、けじめを付けようとする姿勢は皆無である。
問責決議案の可決は、昨年6月、福田内閣に対しても行われた。その後、麻生内閣に看板を掛け替えて、国民の批判をかわそうとしたものの、いまや与党内からも公然と批判の声が出るに至っている。麻生首相は、速やかに衆議院を解散すべきである。
社民党は、来る総選挙で、麻生政権ひいては自民公明連立政権に終止符を打ち、日本の政治を大きく転換させる。そして、平和憲法を尊重し、働く者の生活を大切にする新しい政治を作り出すために奮闘する。
以上