2009年5月3日

憲法記念日にあたって

社会民主党

1.本日は、1947年5月3日に日本国憲法が施行されてから62周年にあたります。主権在民、平和主義、基本的人権の尊重を掲げた日本国憲法は、この62年間、私たちが進むべき方向を示してきました。多くの人が、日本は平和国家をめざし、豊かな福祉社会を築くために努力していくべきだと考えています。社民党はこれからも、憲法に謳われた目標の実現のために邁進することを、憲法記念日に当たって誓います。

2.日本国憲法は、わが国が平和国家として歩むことを定めた国際的な公約です。今年は、ベルリンの壁が崩壊して20年に当たります。1962年に核戦争の危機に直面した米国とキューバの関係も、ようやく変わろうとしています。核廃絶をめざす新たな動きも出てきました。しかしながら、北東アジア地域は、冷戦構造がいまなお残ったままで、北朝鮮の核開発とミサイル開発という問題が生じています。六ヵ国協議の枠組みを維持しつつ、粘り強く解決への道筋を見つけなければなりません。北東アジアを非核地帯とし、地域的な安全保障機構の実現をめざします。沖縄に駐留している米海兵隊のグアム移転と新基地建設など米軍再編への巨額の支援やMD配備は、緊張緩和に逆行するものです。また参議院で審議中の海賊対策法案は、軍事組織と警察組織を混同させ、国会の承認もなく自衛艦を派遣するものです。暫定的な法律ではないため、自衛隊の恒久的な海外派兵に道を開く危険性を内包しています。当面する海賊対策には、海上保安庁がその経験を活かしてあたるべきです。またソマリアが抱えている諸課題は国際社会が協力して解決し、安定をもたらすとともに、海賊行為を防止し犯罪を裁くための国際的な刑事・司法の協力体制を築かなければなりません。

3.日本国憲法は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めています。また「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」とも定めています。しかし、小泉内閣以降の新自由主義路線のもとで、医療や介護が切り詰められてきました。社民党は、医療や介護の現場の声を聞き、改善させるための活動をしてきました。しかし、昨年後半から顕在化した国際的な金融機関の大規模な破綻は、生産・流通・消費といった実体経済にも深刻な影響を及ぼしています。そのため、非正規労働者は犠牲を強いられ、正規労働者にも影響が出ています。経済大国と言われながら、仕事と住まいを一挙に失うなどということが現実化しています。自殺者数が毎年3万人を超えていることも、今の日本社会がいかに矛盾に満ち国民を追い詰めているかを示しています。憲法は、そこに記された基本的人権を「侵すことのできない永久の権利」として保障しています。しかし、それは私たち自らの不断の営為によって、獲得できるものであることを忘れてはなりません。社民党は「いのちを大切にする政治」を掲げて、憲法の条文を実現させるために奮闘します。

4.2007年5月には、日本国憲法の改正手続きに関する法律案(改憲手続法案)の採決が強行されました。政府与党は、憲法改悪に本格的にとりかかるために憲法審査会の規程を国会に提出し、始動させる機会を虎視眈々と狙っています。また、今年度予算には国民投票制度法関連予算として46.9億円が計上されました。これは、来年5月に施行される日本国憲法の改正手続きに関する法律を先取りして、投票人名簿システムを構築するとともに、広報活動を進めようとするものです。社民党は、憲法改悪に反対する人々や、国の礎である憲法を軽々しく扱うことに異議を唱える人々とともに、憲法審査会の始動を阻止する闘いをさらに強めます。

以上