社民党の福島みずほ党首と渕上貞雄副党首は5日、熊本県営荒瀬ダムの撤去問題について、国土交通省に国の支援方について以下の申し入れを行いました。対応したのは河川局長。今後、熊本県連合や現地の皆さんと対応を協議することにしています。

 

「荒瀬ダム撤去」に関わる国の支援を求める申し入れ

2009年6月5日 

国土交通大臣
金子一義 様

社会民主党党首  福島みずほ

 熊本県営荒瀬ダムについては、長い間の地元流域の住民の要望を受け、球磨川の清流を取り戻すために熊本県議会をはじめとした関係各機関で論議を重ねた結果、潮谷義子前熊本県知事の決断でダム撤去の決定がなされました。

 社民党としても、荒瀬ダムの撤去は地元の要望をも受け入れ、民主的プロセスを経て決定されたものであり、「環境立県」をうたう熊本県の環境復元型公共事業の第一歩としての姿勢を内外に示すものとして、撤去の方針を支持してきました。

 しかし、蒲島郁夫知事になって、撤去費用がかさむという一面的な事情から突然の方針転換が表明されました。

 本来、荒瀬ダム撤去の問題は、撤去費用がどうかで判断するという性格のものではなく、自然保護の問題や地元の清流を取り戻したいという要望を受けてのものであったはずです。とはいえ、蒲島知事も県財政が好転し、国の補助金など支援態勢などが整えば「撤去すべきだ」ということを認めています。

 環境の変化による瀬・淵の消失、干潟の減少並びに質の変化は、球磨川の鮎の漁獲量を減少させ、八代海の漁獲量を激減させたことは否定できない事実です。これらが地域経済に与えた影響は図りしれません。年々減少する八代海の漁獲量に、八代海の漁業者は、荒瀬ダム撤去による海の再生に一縷の望みを抱いています。社民党は、熊本県南部のうち八代海沿岸および球磨川流域では、この流域圏の経済発展は何よりも豊かな自然資源を基盤として成り立っており、球磨川、川辺川流域と八代海の再生こそが、地域経済の活性化につながると確信するものです。また、既存ダムの撤去という画期的な事業が遂行されれば、熊本に全国の注目が集まるし、流域の再生につながる公益性の高い事業といえます。

 清流を取り戻したいという流域住民の願いを受け、荒瀬ダム撤去を実現して、球磨川の宝である清流を取り戻し、日本三急流の再生と不知火海の再生を図り、釣りや、観光、漁業振興を図り、地域経済の発展、食料の自給率向上につなげていくべきです。国としても、子孫にきれいな川を残したいという流域住民の強い思いにこたえられるよう、以下の点について申し入れるものです。

1.一級河川である球磨川の河川管理者である国土交通省は、「荒瀬ダム」撤去に関して、資金、技術、制度などに関して、必要な支援を行うこと。    

2.農業用水の利水を確保するため、ダム撤去後の利水に万全を期すこと。

3.全国に2500か所以上あるダムの多くは高度成長期に造られており、今後、ダム撤去とそのための巨額の費用負担が大きな問題になる。ダム撤去に対するプログラムを示すとともに、国の財政的支援制度を確立すること。

以上