2009年2月19日 

外務大臣 中曽根 弘文 殿

「在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定」の署名強行に対する抗議

社会民主党党首
福島みずほ

 2月16日、アメリカのヒラリー・クリントン新国務長官が来日し、中曽根弘文外務大臣との間で、「在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定」に署名した。国内政局の動向が不安定である中、同協定の署名・交換は、アメリカの世界戦略によって進められてきた米軍再編計画を梃子に、「軍事同盟」を強化せんとする日米両政府の目論見は明らかである。強く抗議をするものである。

 地元沖縄における直近の民意は、昨年7月18日の「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する」県議会決議が示すように、辺野古への新基地建設を伴う米軍再編に反対である。日米合意を地元も受け入れるのは当然とのやり方は、あまりにも乱暴であり、麻生総理の施政方針演説における「在日米軍再編については、地元の声に耳を傾ける」との表明とも大きく矛盾している。地元無視も甚だしく、断じて認められない。

 同協定の前文に「グアム移転」「普天間移設」「嘉手納以南の基地返還」の3つを盛り込む「パッケージ論」を展開し、それがあたかも沖縄県民の強い希望であるかのように書かれている。まさに言語道断、到底承服出来ない。基地問題は「パッケージ論」によらず、個別に解決すべき問題である。在沖米海兵隊のグアム移転にかかる日本側負担については、国際協力銀行出資分を含めて約60.9億ドル(約5400億円)ともいわれる。だが、米軍への巨額の財政支出を伴うにもかかわらずその使途明細も不明な点が多く、閣議決定のみを経るだけで国会での事前検証もない。

 折しも「100年に一度」の不況の嵐が吹き荒れ、多くの労働者が解雇され路頭にさまよっている。国民の生活の再建にこそ税金を使わなければならないこの重要な時期に、貴重な血税を国外の米軍施設建設に浪費する協定締結に国民の理解が得られるはずがない。まさに暴挙と言うしかない。

 以下、強い憤りをもって同協定の署名強行に抗議する。

1.政府がクリントン米国務長官との間で「在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定」の署名を強行したことに強く抗議する。

2.政府は、沖縄県民の基地負担を軽減する具体策として、名護市辺野古と東村高江における新基地建設計画の即時中止、及び普天間飛行場の即時閉鎖・全面返還をおこなうこと。

3.政府は、米政府に対し、日米地位協定の抜本的な改正を求めること。