2010年7月28日
社会民主党党首
福島 みずほ
1.本日法務省は、東京拘置所で2人の死刑を執行し、死刑囚の氏名や犯罪事実を公表した。社民党は死刑制度が人道と社会正義に反するものとして、その存置に強い疑問を呈してきた立場から、今回の2人の死刑執行に強く抗議する。
2.今回の執行は、昨年7月28日の執行後、ちょうど1年後に行われたものであり、民主党政権下で初の死刑執行である。自らが死刑制度廃止論者であり、大臣就任後も、死刑制度見直しに向けた国民的議論の必要性を訴え続けてきた千葉景子法務大臣が、死刑執行に踏み切ったことは、非常に遺憾であり激しい失望を感じざるをえない。なぜ死刑執行に慎重であった千葉大臣が執行を命じたのか、その真意や、法務省の姿勢を厳しく追及していかねばならない。また、先の参議院選挙で落選しながら、法務大臣を続けたままで臨時国会を迎えようとしている人が死刑執行を命じたことに、重大な疑義がある。
3.1989年の国連総会で「死刑廃止を目指す、自由権第二選択議定書」(死刑廃止条約)が採択されたが、日本はこの条約を未だに批准していない。2007年12月には、国連総会で死刑の執行停止を求める決議がされた。さらに、2008年6月初旬に開かれた国連人権理事会の作業部会でも、多くの国が日本の死刑執行継続に懸念を表明し、日本政府に対し死刑の停止を勧告した。国連総会は2008年12月18日にも、死刑執行の一時停止などを求める決議案を採択した。2年連続の採択は、死刑の廃止が国際社会の共通の意思となりつつあることを示している。しかしながら、自民党から民主党へと政権が代わってもなお、日本政府は一貫して、死刑制度の廃止に向かう世界の流れを無視しつづけている。
4.千葉法務大臣は見届ける責任があるとして、死刑の執行に自ら立ち会った。その後の会見で、国民的な議論の必要性を強調し、東京拘置所の刑場を公開し、法務省に死刑執行を考える勉強会を立ち上げる意向を示しているが、これらは当然のことながら、法務大臣の職権で行うべきものである。それを今回の死刑執行と引き替えのように法務省側に指示をしたのは、大いに問題が残る手法であった。死刑制度については、存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方について国民的な議論を尽くし、その間、政府は死刑の執行を差し控えるべきである。社民党は今後も、死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。
以上