2010年8月10日

2010年人事院勧告について(談話)

社会民主党幹事長
重野 安正

1.人事院は本日、2010年度の国家公務員一般職の月例給について平均757円(0.19%)引き下げるとともに、一時金も0.2か月分引き下げ、年間3.95か月とする給与勧告を行った。あわせて、高齢期の雇用問題を含む報告、非常勤職員に育児休業制度等を適用するための意見の申出、採用試験制度見直しや超過勤務の縮減など公務員人事管理に関する報告を行った。

2.民間の実勢を反映したものとはいえ、2年連続の公務員給与のマイナス勧告は、マクロレベルでの個人消費に悪影響を与えるにとどまらず、地方における中小・地場産業で働く労働者などに大きな影響を与える。また生活保護などの社会的給付の基準引き下げにもつながりかねない。内需拡大が叫ばれているときに、現下の経済をさらなる負の悪循環に陥らせ景気への悪影響も懸念される。

3.人事院は、民間企業の高齢職員の給与が下がっているとして、55歳を超える職員の俸給及び特別調整額の1.5%引き下げと40歳台以上の職員の俸給の平均0.1%引き下げという、特例的な給与引き下げ措置をはじめて勧告した。その適用範囲は、行(一)6級相当級以上に限定されているとはいえ、年齢を理由に引き下げることは、職務給や能力・実績主義という公務員給与の基本原則に反するものである。また、労働側との話し合いも不十分であり、手続き的にも極めて拙速である。

4.高齢期の雇用問題では、13年度から3年ごとに1歳ずつ定年を引き上げるよう求めるなど、65歳までの段階的な定年延長に関わる制度の骨格が示された。雇用と年金の接続をはかるため、定年年齢を段階的に65歳に引き上げる意見の申出を本年中に行うことを再確認したことは、当然のことである。中高年の給与費削減だけに目を向けるのではなく、65歳定年制に向けての道筋をつけるよう、政府としても、2013年度から、実現に向けて具体的な検討を行うべきである。

5.「法の谷間」におかれ、低賃金で不安定な雇用・労働条件にある臨時・非常勤職員について、社民党としても均等待遇の実現や制度の抜本的な改善を求めてきた。非常勤職員に育児休業等の適用を求める今回の意見の申出を受けて、政府は、非常勤職員に育児休業制度等を導入するため、速やかに育児休業法を改正すべきである。また、日々雇用の非常勤職員制度を廃止し、期間業務職員制度を導入する人事院規則等の改正が行われたことは一定評価するが、引き続き実態を注視しつつ、制度の抜本的改善を求めていく。心の病で長期休職した職員について、復職前に試験的に出勤するなど円滑な職場復帰・再発防止策を推進することも評価したい。

6.国民生活の安心と安全を確保する公共サービスの再構築に向けた取組みが求められている中、多くの公務労働者は、極めて厳しい労働環境のもとで努力している。今回の勧告の取り扱いについては、労働側との十分な協議と合意が必要である。国民のための良質の公共サービスの確保のためにも、労働基本権が制約されている現状のもとで、一方的な給与引き下げなどは断じて許されない。

7.デフレ下での減額調整が、労働基本権を制約された公務員の不安定な立場を浮き彫りにしている。ILO条約及びILO勧告を満たした労働基本権の確立による労使関係制度の抜本的改革が必要であり、社民党としても全力で取り組んでいく。

以上