2010年9月27日

尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件について(談話)

社会民主党党首
福島みずほ

 去る9月7日に、中国のトロール漁船が、沖縄県の尖閣諸島にある久場島付近の領海内で違法操業をしており、海上保安庁の巡視船の停船命令を逃れようとして衝突した。この事件で、海上保安庁は公務執行妨害容疑で漁船を拿捕するとともに船員を逮捕した。

 一般船員は13日に釈放したものの、船長を引き続き勾留し19日にはさらに勾留期限を延長し取り調べを継続した。

 発生から17日経った9月24日になって、那覇地方検察庁は、中国人船長を処分保留で釈放することを決めた。

 尖閣諸島は、歴史的にみて明らかに日本の領土であり、沖縄県石垣市に属する島である。領海内で他国の漁船が操業することは、特段の取り決めがない限り断じて認められないことであり、海上保安庁が取り締まることは当然である。

 那覇地検の「処分保留で釈放」という措置は刑事訴訟法に則ったものではあるが、「わが国の国民への影響や日中関係を考慮すると、これ以上身柄を拘束して捜査を継続することは相当でないと判断した」と公式発表することは、検察としての権限を越えているといわざるをえない。菅政権は、巡視船の写したビデオ公開も含め、国民に対して逮捕から釈放にいたる過程を明らかにすべきである。社民党は、この問題の対応と菅政権の外交姿勢について、次期臨時国会で検証・追及するとともに、今回のような事件の再発防止のための必要な交渉を進めることを求めていく。

 中国政府は今回の措置に対し、25日に日本側に謝罪と賠償を求めたが、これは全く論拠がなく認められない主張である。社民党は、中国政府が冷静に判断し、謝罪と賠償の要求を取り下げることを求める。

 また別件ではあるが、河北省石家荘市で建設会社「フジタ」の社員4人が軍事管理区域に立ち入り撮影したという容疑で中国当局の取り調べを受けている。この問題について、社民党は、当局が日本人4名の安全確保と人道的な取り扱いに留意するとともに、中国政府が早期に釈放をするよう尽力することを強く求めるものである。

 日中関係が緊張状態を続けることは、東アジア地域全体に好ましくない影響をもたらす。また双方が過度なナショナリズムをあおることは、結果的に日中両国にとってもマイナスとなり、事件の日中関係に対する影響を最小限に食い止めるよう、冷静かつ抑制的な言動や対応をすべきである。

以上