2010年12月6日
社会民主党幹事長
重野安正
本日、福岡高裁は、有明海沿岸の漁業者らが国営諫早干拓事業に関して起こした控訴審判決で、長崎県による造成農地取得のための公金支出差止については原告の訴えを棄却したものの、潮受堤防排水門の開門調査については5年間の開門を命じた一審判決を支持し、国側の控訴を棄却した。佐賀地裁判決に続き、高裁判決でも排水門の開門の必要性が認められたことを重く受け止め、政府は速やかに中・長期の開門調査を決断すべきである。
潮受堤防排水門開門の是非については、本年4月28日に、当時与党であった社民党も参加した諫早湾干拓事業検討委員会において、座長を務めた郡司農水副大臣(当時)が、有明海再生の可能性を探り、開門の是非をめぐる争いに終止符を打つため、環境影響評価の実施や地元関係者の理解を前提としつつ、「開門調査を実施することが適当」とする検討報告を取りまとめている。検討報告から、すでに半年あまりが経過している以上、政治の意思としても、排水門の中・長期開門の判断を下し、調査に必要な体制整備に努めるべきである。
農水省は開門調査にかかる費用を問題にしているが、段階的な開門など、開門方法を工夫することによって費用を最小限にとどめることを検討すべきである。また、開門調査は干拓事業が漁業環境などに与えた影響について原因を探る有効な手掛かりである以上、現在進めている環境アセスメントは、あくまでも開門を前提にして進めるべきである。なお、開門調査にあたっての農業者の営農対策、必要な防災については、基本的に国が責任を持って進めるべきと考える。
社民党は、一刻も早い開門調査の決断を政府に求めるとともに、有明海の再生に向けて、今後も尽力していく決意である。
以上