2010年12月17日

「防衛計画の大綱」の閣議決定について(談話)

社会民主党党首
福島みずほ

1. 政府は本日開かれた安全保障会議と閣議で、今後10年間の防衛力の在り方を定める「防衛計画の大綱」と、これに基づく「中期防衛力整備計画(2011〜15年度)」を決定した。

2. 「大綱」は、自衛隊の部隊を全国に均等に配置する「基盤的防衛力構想」を改め、機動力や即応性を重視した「動的防衛力」へ転換することを明記した。これは脅威により実効的に対処する体制を構築するために部隊の配置を見直すことを意味しており、自衛隊の性格を変質させていくものである。

3. さらに、中国の海洋進出を念頭においた日本周辺の警戒監視機能や南西諸島方面の防衛力強化や、自衛隊の人事改革、「国家安全保障に関し関係閣僚間の政策調整と内閣総理大臣への助言等を行う組織を設置する」こと等を明記した。日米同盟を深化・発展させること、韓国、オーストラリア、インドなどとの防衛協力にも触れている。

4. 防衛装備品の具体的な数量を示す「別表」ではこうした考え方を反映し、現在16隻態勢の潜水艦を22隻態勢に増強。弾道ミサイル迎撃に対応したイージス護衛艦を現在の4隻から6隻に増やす一方で、戦車を約600両から400両程度に減らし、火砲も大幅に削減している。

5. 社民党が強く反対した武器輸出三原則の見直しについては、それ自体は明記されなかった。しかし、平和貢献・国際協力活動において使用した重機等の装備品を供与することや、武器の国際共同開発・生産への参加を検討することなど、三原則緩和につながる動きは止まっておらず、ひきつづき武器輸出解禁阻止のために全力をあげていく。

6. 本「大綱」は、旧自公政権下で作られてきたものの延長線上にあり、今後10年間、防衛省が財界・防衛産業の要望を受け入れ、アメリカの戦略に追随し続けることを、確認したものである。社民党は、政府が、軍事的な対処に傾斜する旧政権時代の対立構造型の安全保障から脱却し、北東アジアにおける安全保障構想の構築を目指し、平和憲法の理念に基づいた安全保障政策を実現する立場に立つことを強く求める。

以上


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