社会民主党
1、5月28日朝、日米両政府は日米安全保障協議委員会(SCC)共同発表を行なった。2006年に日米政府が合意した「再編の実施のための日米ロードマップ」(以下「ロードマップ」)の内容を踏襲し、「1800メートルの長さの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域」に、既存の「環境影響評価手続及び建設が著しい遅延がなく完了できる」ように設置することが明記されている。この後8月末までに代替施設の位置や配置、工法について専門家による検討を行ない、秋までに予定される次回SCCで検証・確認することとされた。
2、共同発表では環境保全のための「緑の同盟」と称して、日本国内やグアムの米国の基地に再生可能エネルギー技術を導入するための経費を新たに在日米軍駐留経費負担(いわゆる「思いやり予算」)の対象とするなど、日本側の負担増となるのおそれがある要素が盛り込まれている。負担軽減とグアムの施設建設、普天間代替施設建設をパッケージにした09年の「在沖縄海兵隊のグアム移転に係わる協定」の着実な実施も再確認された。
3、一方、負担の軽減については「ホテル・ホテル訓練区域の使用制限の一部解除」のほか、「訓練の移転」や「環境に関する合意」の検討、「嘉手納以南の施設・区域の返還の促進」、「嘉手納の騒音軽減」、「自治体との意思疎通及び協力を強化する意図」を確認する等の抽象的で不十分なものにとどまっている。
4、普天間飛行場移設のための代替施設建設は、1996年12月の「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」の合意いらい14年にわたって実現できなかったものだ。今回の日米の共同発表が普天間基地の移設先をあらためて「辺野古崎地区」として、現行計画を踏襲する内容で再び合意したことは、実現不可能な案を掲げ、地域住民への負担を強い続けるものであり許されない。
5、鳩山連立政権が発足するにあたり、社民党・民主党・国民新党の三党は「沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」ことに合意し、社民党は「ロードマップ」合意を見直すため全力で取り組んで来た。鳩山総理が、普天間飛行場の移設先を「国外、最低でも県外」と発言して沖縄県民の期待を高めておきながら、ほとんど前進がなかったことは誠に遺憾であり、社民党として断じて容認できないものである。