社会民主党党首
福島みずほ
本日、菅直人首相は内閣改造を実施した。菅政権は昨年6月に発足したが、9月には早々と改造を行った。したがって今回は、二度目の改造ということになる。今回新たに入閣したのは4名に過ぎず、新鮮味を欠く改造となった。多くのメンバーが留任ないしは横滑りとなっており、「最強の布陣」といえるのか大いに疑問がある。今回の改造は、昨年の臨時国会終盤に、参議院で仙谷官房長官と馬淵国土交通相に対する問責決議が成立したことに対処し、今月末から始まる通常国会を円滑に進めるための彌縫策という面が強い。
しかし、自民党の比例名簿で当選しながら、「たちあがれ日本」を作り離党した与謝野馨氏を経済財政担当相に起用したことは、税と社会保障の一体改革の名の下に、消費税率引き上げ問題に本格的に取り組もうとする布石でもあり、内閣としては受け身の対応から転じようとする姿勢があることに警戒しなければならない。
小泉構造改革以降、国民生活がどんどん厳しくなっているにもかかわらず、菅内閣は「国民生活が第一」の姿勢が見えず、雇用や社会保障の改善に全力を挙げるという意気込みは感じられない。むしろその反対に、実際に進められる施策は、法人税の実効税率をあっさりと引き下げたことにみられるように、またしても大企業重視の小泉構造改革路線に回帰する可能性を予期させる。これでは、国民生活はますます悪化していくことになる。「一に雇用、二に雇用、三に雇用」といいながら引き延ばされている労働者派遣法の改正などの雇用対策も速やかに行うべきである。
かつて民主党が反対した周辺事態法について、朝鮮半島有事などを想定して改正しようとすることは、日本がさらに米軍と一体化していき、東アジア情勢をさらに緊張させることになる危険性がある。日米同盟強化ではなく、普天間基地問題を解決し辺野古の新基地建設を断念するために、日米合意の見直しに踏み出すべきである。
菅内閣は、昨年末に第3次男女共同参画基本計画を策定した。このなかには、政治分野での女性の参画をすすめることが入っているのに、内閣改造によって女性大臣が減り1人になってしまった。これは、今大きな社会問題となっている子育てや女性の雇用、貧困に首相自身が無関心であることを露呈している。
一昨年9月の「連立政権樹立に当たっての政策合意」は、構造改革路線から転換し生活再建をという国民の政権交代への期待が集約されたものである。政権交代に託された国民の期待に応え、10テーマ33項目の政策合意の内容を実現することにこそ、新内閣が全力を挙げるよう期待する。社民党は、この合意を基本として、生活再建の実現を基軸にして通常国会に臨むとともに、雇用や福祉、地域の立て直し、公共サービス・住民サービスの維持向上を図るため、全国各地で統一自治体選挙の準備に全力を挙げていく。