2011年4月7日

総務省「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する
電気通信事業者関係団体に対する要請」について(談話)

社会民主党幹事長
重野 安正

 

1.4月6日、政府の「被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチーム」が「被災地等における安全・安心の確保対策」をまとめたことを受け、総務省は、電気通信事業者関係団体に対し、東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語について、表現の自由への配慮をしながら適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じるよう要請した。その内容は、東日本大震災後、地震等に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布しているとし、インターネット上の流言飛語について関係省庁が連携し、サイト管理者等に対して、正確な情報の提供に努め、法令や公序良俗に反する情報の自主的な削除を含め、適切な対応をとるよう求めるものである。

2.すでに、警察庁等からの指摘により、記事の削除やアカウントの停止等が行われたとされる報告もあり、法的根拠が示されないままのネット規制強化への懸念の声が利用者から上がっている。今回の総務省の要請は、表現の自由や言論の自由に関する重要な規制であり、国民や各党にも十分な説明もないまま、一片の通達で行うことに疑問を感じる。

3.確かに、今回の災害において、ネット上でいわゆるデマが飛び交うなどの問題が指摘されていることは事実としてないわけではないが、どういう情報が法令違反なのか、何が公序良俗に反するのか、何が悪質なデマであったのかなど、まず実害を明らかにした上で、ユーザーに注意を喚起を促す等の啓発措置を要請すべきである。

4.「公序良俗」という、いかようにでも解釈可能な大きな網をかけ、さらに被災者の安心という拒みがたい理由付けをしたこの通達は、いくらでも拡大解釈が可能である。特に、原子力発電所や避難区域等で起きていることに関する報道や研究予測、意見表明、発言等に関して、政府や東電の意思や解釈に反するものについて、「流言飛語」として適用されてしまうのではないかという危惧を強く感じる。この要請が実質的な強制を促し、言論封殺につながることを強く懸念する。

5.そもそもインターネット上に、憶測やデマ等の情報が飛び交う原因は、政府および東電含め関係機関等の情報公開の不備が一因である。原発に関する政府の発表がきわめて不明瞭で問題があることは、国民からも各国メディアからも指摘されている。現状の事態では、国民に関係当局にとって都合の悪い情報を隠す目的と受け取られ、政府への不信を募らせるだけである。言論抑圧に等しい行政指導は撤回するとともに、政府及び関係機関が適切な情報公開・情報提供を行うよう望むものである。

以上