2011年5月2日

2011年度第一次補正予算の成立に当たって(談話)

社会民主党幹事長
重野安正

 

1.本日の参議院本会議で、2011年度第一次補正予算が成立した。東日本を襲った地震、津波、原発事故から1か月半がたったが、12万人を超える人が避難所生活を余儀なくされている。また、地震や津波からは命が助かったものの、その助かった命が避難所や病院で失われている。東京電力福島第一原発事故も未だ収束していない。被災が広範囲で、しかも津波災害で行方不明者が多く、加えて原発事故が重なるというきわめて困難な状況にあるとはいえ、当座の生活資金給付、仮設住宅等の住まいの確保、ガレキの撤去などの復旧のテンポが遅く、そのことがまた被災者に対する不安要因となっている。本来であれば、未曾有と言われる大震災に、もっと早くに思い切って、当面10兆円程度の補正予算を編成する必要があったが、今回の補正予算は、規模も不十分であり、時期も遅いものと言わざるを得ない。

2.歳出については、社民党が主張する、自治体支援の強化のうちの特別交付税の増額、仮設住宅の拡大、ガレキ撤去、社会インフラ復旧のための財政支援の強化、被災者生活再建支援金のための基金の追加、中小零細企業対策の拡充等が盛り込まれた。一方、原発事故に関しては、安全対策から放射能汚染ガレキの処理まで全くの手つかずのままである。

3.歳入面では、復興国債の発行等に踏み込むことなく、既に成立している2011年度本予算を見直しし、優先度の低いものを削り補正の財源を確保するとしているが、その主な対象が、子ども手当や国民年金の国庫負担2分の1への引き上げの先延ばしであるなど、社会保障分野の給付抑制であることは、本末転倒であり、国民生活の不安を増大させるものである。加えて、繰り返し消費税増税の影がちらつくなど、復旧・復興の機運に水を差し、景気の悪化を招きかねない。また、国際的に支援をいただき、また汚水排出等で迷惑をかけている中、ODA予算の安易な削減は許されない。本来、分権改革に伴い、縮小・廃止すべき直轄事業負担金を財源とするのも疑問が残る。本来なすべきは、今回の震災や原発事故を教訓に、新たに災害に強く持続可能なエネルギーに支えられた地域づくりに積極的に政治の舵を切ることと、そのための財源準備をすることである。

4.今回の補正予算は、被災者の生活支援と被災地域の復旧に向けたきわめて緊急なものであり、不十分でも速やかに成立させ執行すべきものとして、社民党は賛成した。引き続き、地域の実情や被災者のニーズに応じた「生活再建」と「人間の復興」に向け、第二次、第三次と順次の編成を求めていく。その際、自治体間支援の強化、「災害一括交付金」や「震災復興基金」の創設、被災者生活再建支援制度の拡充強化、地域公共輸送支援、放射能汚染ガレキの処理、二重ローン問題の解決等が重要である。また、今回の震災によって、雇い止めや解雇が急増しているが、未曾有の大震災に立ち向かうためには、そこに暮らす人々の雇用の確保と創出が不可欠であり、雇用対策の一層の強化が必要である。原発事故に苦しむ自治体に対して、格段の支援が必要であることは言うまでもない。

以上