2011年8月26日
社会民主党
幹事長 重野安正
一 本日、菅首相が退陣条件の一つにあげた「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」(修正案)が参議院本会議で全会一致で可決・成立した。内容は、再生可能エネルギーに由来する電気について、電気事業者に、一定期間、全量を固定価格で買い取ることを義務づけるもので、買取費用は電気料金に賦課金(サーチャージ)として上乗せし、発電設備の設置に関して投資回収の不確実性を低減させ、その導入拡大を一層促進していくものである。
社民党は、一貫して自然エネルギーの全量固定価格買取制度を強く求めてきたことや脱原発へのエネルギーシフトを急ぐ観点から、法案に賛成した。
二 再生可能エネルギーは、太陽光・熱、風力、水力、地熱、バイオマスなどとされ、国産資源の活用促進により、化石燃料にまつわる地域偏在や輸入依存のリスクを低減するとともに、脱原発、温室効果ガスの削減、新たな環境産業の創出や雇用拡大、地域分散・自給型のエネルギー社会の構築、農林漁業の再生、地域経済の活性化にとって不可欠である。世界的にも、再生可能エネルギーは急成長し、累積導入量は、すでに原子力設備容量を追い抜き、投資額も増え続けている。
これまでの政府の施策は、RPS法(事業者に一定以上の利用義務を課す制度)や太陽光の余剰買取制度だけにとどまり、電力独占体制のもとで原発利用を優先し、再生可能エネルギーの普及を怠ってきた。原発事故による放射能汚染は地域の暮らし、環境を破壊し続け、また化石燃料の莫大な輸入コストが電力料金を連続して上昇させ、家計を直撃している。
大震災からの復旧・復興や円高対策・内需拡大など日本の経済社会の再生のためにも、再生可能エネルギーの飛躍的な普及は大きな活力となる。
三 修正では、@買取価格は、一律価格ではなく、各エネルギー別に「発電設備の区分、設置の形態および規模ごとに定める」とし、事業性を担保するため「供給者の適正な利潤、費用など事情を勘案すること」とした。A価格は、「関係大臣の意見を聴くとともに、調達価格等算定委員会(両院の同意人事)の意見を聴き、尊重する」とし、B電力多消費産業に対する軽減措置、C電気事業者は事業活動の効率化、経費低減などに努めること、D被災地の電気使用者に対する賦課金の免除が盛りこまれた。なお、国民負担については、「過重な負担とならないよう配慮する」としているが、消費電力の少ない世帯や低所得者層に配慮し、原子力関係予算の組み換え、電促税や石油石炭税の活用などを講じるべきである。
四 制度の詳細は、多くが省令に委ねられているが、@再生可能エネルギー導入拡大目標を2020年に30%とする、A買取価格は上限を設けず普及にかなう価格を設定する、B太陽光発電の買取は、全量買取とする、C電力会社による接続拒否を許さず、優先接続を義務づけることが必要である。送電部門の分離・開放、スマートグリッドの整備等を実現し、自然エネルギーの普及に全力をあげるべきである。
以上