2011年12月19日

野田首相の原発事故「収束」宣言を批判する(談話)

社会民主党
                                   党首 福島みずほ

 12月17日、野田佳彦首相は福島第1原発が「冷温停止状態に達し、事故そのものが収束に至った」と述べた。事故収束に向けた「ステップ2」の工程が終わったので、これからは廃炉を目指す新たな段階に入るとし、あわせて、避難区域の本格的な見直しに着手する決意も表明した。

 首相が冷温停止宣言の理由として挙げているのは、1〜3号機の圧力容器底部の温度が100度以下で安定していること、トラブル時にも放射線量を十分低く抑えられることなどである。

 しかし、そもそも「冷温停止」とは原子炉が健全な状態のことを指し示す用語であり、ここで使うのは適当な表現とは言えない。さらに、炉内の状況が確認できたわけではなく、圧力容器を貫通した核燃料の場所や状況も何も分かっていない。当初より減っているとはいえ、環境中への放射性物質の放出も続いている。

 「事故の収束」を宣言できる状況とは、言いがたい。「工程表」の「安定冷却達成−ステップ2を終了」が予定どおりに実現したことを強調するあまり、誤ったメッセージを発信している。いまなお避難生活を強いられ帰宅のめどが立たない人々や、飛散した放射性物質との闘いを強いられている被災地から「収束宣言」に対して不信と怒りの声が上がっているのは、当然のことである。安易な「収束」宣言より、福島再生の具体策こそが求められている。

 この先も慎重に原子炉の安定を維持しながら、溶け落ちた核燃料の処理をしなければならない。通常の廃炉の工程でも長期間かかるのに、福島第1原発では人類が経験したことがない困難な作業を、内外の知見を結集しながら、一つ一つ問題を解決していく必要がある。

 社民党は、原発が本質的に内包している困難を引き起こさないために、政府が脱原発依存社会に切り替えていくことを求めるとともに、脱原発の運動を広げていくために努力する。

以上