2011年4月14日

2011年度第一次補正予算編成に当たっての意見
〜「23年度1次補正予算の粗々のイメージ」について〜

社会民主党

<規模>

○社民党は、当面10兆円程度の補正予算の編成を提起していた(「東日本大震災への提言」<第一次>)が、今回の第一次補正については、緊急対応ということで被災地及び被災者のために、一刻も早い成立を期すものとして受け止める。

○今後、復旧・復興の状況等に応じて、第二次、第三次と順次の編成を求めていく。 

<歳入>

○高速道路無料化社会実験や高速道路割引財源の活用、経済対応予備費の活用は了とする。

○年金財源(鉄道運輸機構国庫納付1・2兆円、財投特会剰余金等1・1兆円、外為特会剰余金(進行年度)0・2兆円)や子ども手当上乗せ分など、まず社会保障関係から復興財源を捻出するやり方は、生活切り捨てであり、順番が間違っており、問題である。

○国際的に支援をいただき、また汚水排出等で迷惑をかけている中、ODA予算の安易な削減は許されない。

○ 以下の財源捻出についても真摯に検討すべきである。
・高速増殖炉サイクル関係やITER関係経費など、原子力関係予算(0.4兆円)についても、原子力事故対策に転用する。
・在日米軍駐留経費負担(0.2兆円)、米軍普天間飛行場の辺野古移設関連経費、米軍ヘリパッド工事関連経費などについても、復旧対策経費に組み替える。
・特に災害復旧関係の公共事業費については、建設国債を充てる。
・2010年度不用額(予算に計上されたがその年度中に支出されなかったフローの剰余金)も活用する(毎年少なくとも約10兆円の特別会計の不用額が活用可能)。
・国債整理基金積立金11.6兆円、外為特会20.5兆円、外貨証券112兆円などについても活用する。
・震災復興を優先する観点から、その他の不要不急経費を見直す。

○「震災復興国債」についても検討すべきである。

<歳出>

 補正予算の「粗々のイメージ」の歳出の追加財政需要として示された経費に加え、以下の経費についても額の充実や対象の拡大等、万全を期すべきである。

○自治体支援の強化(総務省、内閣府)
・住民を受け入れたり、職員を派遣したりしているなどの支援自治体に対して、全面的な財政フォローを国の責任で講じるとともに、「ペアリング支援」の手法を構築する。
・地域の実情に応じて適時適切な復旧・復興対策を臨機応変に講じることができるよう、これらに要する経費に包括的に充てることができる特別の交付金(「災害一括交付金」)を創設する。
・現行制度ではできない事業にきめ細かに対応し、被災者の生活復興を支えるため、県レベルの「震災復興基金」を設立し、生活再建や再開発、施設の修復、住宅整備などに弾力的に充当できるようにする。

○仮設住宅の増設(国交省)国新と共通
・仮設住宅7万戸では足りず、10万戸に増やすとともに、スケジュールを明確にする。

○がれき処理(環境省)
・がれき処理の速度を上げるため、国の人的・財政的支援を強化する。

○インフラの機能回復(厚生労働省、総務省、国交省)
・公立病院、公的病院、社会保険病院、民間病院についての復旧に向けた財政支援を強化する(補助率引き上げ、対象範囲拡大等)。同時に、支援に入っている医師をはじめとする医療スタッフの派遣・活動等の経費を支援する。
・下水道やし尿処理施設の復旧・復興について、単なる復旧に加え、合併処理浄化槽やバイオマスを活用していく。

○被災者生活再建支援金の拡充(内閣府)国新と共通
・被災者生活再建支援制度とは別に、被災者に当面の支度金として、一人10万円を支給する。
・今後、被災者生活再建支援制度について、額の引き上げ及び制度の拡充強化を図る。

○中小企業等支援(金融庁、中小企業庁)国新と共通
・中小零細企業対策として、無利子融資や5年間の返済猶予を実施する。

○地域公共輸送支援(国土交通省、総務省)
・震災復旧や地域住民の移動に欠かせない被災地の公営・民営バスの運行継続・完全復旧に向け、燃料の確保を図るとともに、代替車両購入費支援、減収補填を行う。
・仙台市営地下鉄の不通区間の早期復旧や、三陸鉄道や阿武隈急行等の被災した地方鉄道の復旧に向けた助成(国庫補助率の引き上げ)及び無利子・低利融資を強化する。

○離島支援の強化(各省)
・離島が甚大な被害を被った上、交通手段が途絶し、孤立した状況にあることから、離島に対する災害復興支援について、特段の支援措置を講じる。