2011年6月27日

内閣総理大臣
菅 直人 様

エネルギー政策の策定に関する申し入れ

社会民主党
党首 福島みずほ

枝野官房長官に申し入れ

 政府は、新成長戦略実現会議の下に「エネルギー・環境会議」を立ち上げ、「革新的エネルギー・環境戦略」の検討に入った。しかしながら、議論は議事要旨のみの公開であり、十分に公開されているとは言えない。

 また、このような議論の一方で、経済産業省は、産業構造審議会で検討を開始し、総合資源エネルギー調査会でも議論をはじまる。今回の福島原発事故の当事者である経済産業省が、国の方針が定まらない中で、エネルギーの基本的な方向性について検討を行うのは適当とは言えない。

 これまでの日本の原子力政策は、官僚主導による、極めて非民主的な政策プロセスの中で決められ、行政、電力会社、研究機関、関連会社などによって成り立つ「原子力ムラ」と言われる、批判に対して閉鎖的な環境の中で推進されてきた。この反省に立てば、これからのエネルギー政策の策定は、国民に開かれたものでなければならないと考える。

 今後の原子力政策及びエネルギー政策については、あらかじめ一定の方向性や結論ありきの議論ではなく、福島原子力発電所事故に係る政府や東京電力の対応の検証とともに、これまでの我が国の原子力政策の問題点を明らかにしたうえで、全く白紙の状態から議論し決定していく必要がある。

 よって、社民党は、エネルギー政策の策定に関して、下記を申し入れる。

一、現在行われている福島原発事故の検証はもちろんのこと、これまでの国の原子力政策に関して、徹底した検証を行うこと。

一、原発事故についての検証が行なわれ、安全設計指針や安全基準の見直しが行なわれない中での「安全宣言」は拙速に過ぎる。少なくとも、新たな安全設計指針や安全基準の見直しの下で、必要とされる対策を実施完了するまで、再稼動を行なうべきではない。

一、エネルギー基本計画をはじめ、エネルギー政策の方向性については、法改正の後、経済産業省ではない組織で議論し決定すること。

一、エネルギー政策の議論には、国民の参加を保障するとともに、事務局に民間登用を行うなど、国民に徹底的に開かれた民主的プロセスの中で行うこと。

一、6月22日のエネルギー・環境会議の決定にもあるように、原子力のあり方については、新たな独立した体制を設けて検討し、完全に国民に開かれた形の中で、民意を踏まえて議論し、決定すること。

以上