台風12号災害対策に関する要請

2011年9月7日

内閣府特命担当大臣(防災)
平野 達男様

社会民主党
党首 福島みずほ

台風12号災害対策に関する要請

 

 先週末、日本列島に上陸した台風12号は、奈良県、和歌山県、三重県をはじめ全国で猛威をふるった。台風12号は、各地で雨量が観測史上最高値を更新するなど、記録的な大雨をもたらし、河川の氾濫、土砂崩れなどが相次ぎ、死者と行方不明者は100名を超えるなど、平成に入って最悪の台風被害をもたらした。今回の台風によって亡くなられた方、被災された方に対し、深くお悔やみとお見舞いを申し上げる。

 まだ行方が分からない住民も多く、道路の寸断や通信手段の途絶で孤立している地区もある。政府は地元自治体と連携し、人命救助と復旧作業に全力をあげるとともに、深刻な被害実態を踏まえ、被害復旧・復興、被災者支援対策、産業経済の回復、再発防止などについて万全の対策が求められていることから、下記の諸点について実現を図られるよう、強く要請する。

 1.行方不明者の捜索・救助に全力を尽くすこと。台風12号で大きな被害を受けた和歌山県や奈良県では、各地の道路が寸断され、今なお、多くの集落が孤立しており、住民の状況の把握、救援を急ぐこと。「土砂崩れダム」による二次被害防止に万全を期すこと。

 2.今回の災害被害の全容について迅速・的確な把握に努めるとともに、地元自治体と連携し、復旧・復興に政府一丸となって取り組むこと。排水ポンプ車など、災害対策用資機材の支援強化を図ること。ライフラインの早期復旧を図ること。

 3.激甚災害法に基づく激甚災害の指定を早期に行い、復旧事業の推進を図ること。

 4.普通交付税及び特別交付税の前倒し交付を行うこと。災害復旧事業債の配分について積極的に対応すること。

 5.復旧関連事業について、予備費の活用を図るとともに、必要なものは第三次補正予算で手当てすること。

 6.被災者生活支援法による被災者の迅速な生活支援を図ること。

 7.農業共済事業に係る共済金の早期支払いに努めること。農地、山地、農業施設等の災害復旧を支援するとともに、農家・林家の再建に万全を期すこと。

 8.被災中小零細企業等に対する災害融資等の支援を迅速・的確に行うこと。

 9.泥やがれき、ごみなどの撤去作業を支援すること。災害廃棄物の早期かつ適正な処理に努めること。

 10.台風及び集中豪雨に係る観測・予測体制について、一層の精度向上を目指し、予報の方法なども含めて再検討を行い、充実強化を図ること。

 11.気象庁の情報提供のあり方、自治体における避難勧告や指示の在り方、避難の基準作り、土砂崩れ・河川の氾濫などの判断、政府や都道府県の市町村に対する支援等について、専門家も含めて検証し、今後の防災・減災対策に活かすこと。

 12.県管理河川の上流には水位計がなく、避難の呼びかけができなかった自治体もあったことなども踏まえ、自治体の水位監視の態勢の強化を図ること。

 13.中山間地、過疎地で災害が起こった場合の対策について抜本的に見直すこと。衛星携帯電話の配備など、非常時に確実に使える通信網の整備・拡充を急ぎ、防災情報の伝達・提供の迅速化・確実化を図ること。集落ごとの避難所の整備、災害に強い緊急用道路や救援拠点の確保、孤立した集落の対策に万全を期すこと。老人ホーム入所者や1人暮らし・寝たきりの高齢者・障がい者等のいわゆる災害弱者対策について一層の体制整備を図ること。

 14.森林や土壌の保水力を向上させるなど、生態系が持つ潜在力を再生させる工夫も必要であり、大型台風対策としても、森林・山村対策を強化すること。

以上