2011年9月12日
内閣総理大臣
野田 佳彦様
社会民主党党首
福島みずほ
野田新内閣は、2009年の政権交代時に国民が期待を寄せた「国民生活が第一」の理念に立ち戻り、挙党態勢を築きその実現に奮闘すべきである。
社民党として、当面、以下の10項目についてその実現を図るよう求める。
記
2009年9月9日の民主・社民・国新三党の『連立政権樹立に当たっての政策合意』は4年かけてその実現を国民に公約したものである。与・野党に分かれてもその実現は三党の共同責任であるので、『政策合意』の実現に万全を尽くすこと。
2009年の合意を受けて提出された、労働者派遣法改正案、郵政改革関連3法案については、本格的な臨時国会における成立を確約すること。
東日本大震災の復旧・復興に万全を期すこと。
@ 二重ローン法案や国会における事故調査委員会設置法案の早期制定を図ること。
A 被災者一人一人の生活再建、憲法の保障する生存権・幸福追求権の保障を実効あらしめる「人間の復興」、市町村が住民とともに作り上げる「分権自治型復興」に向けてあらゆる手を尽くし、全力をあげること。
B 農畜産業、森林・林業、漁業・水産業の復興と農山漁村コミュニティの再建、食の安全・安心に全力をあげて取り組むこと。
C 被災地において就労・営業再生のため公的雇用を含む雇用創出・転職再訓練を中期的に続けること。
D 住民の再定住に向け市町村サービス再構築のため一般型交付金や地方財政措置を手厚くすること。
@ 福島第1原子力発電所事故の一刻も早い収束を図ること。
A 被害の賠償、食品の安全対策、除染に万全を期すこと。
B 原子力災害による被災地域の再生に関する特別法(福島再生特別法)を制定すること。
C 原子力発電所の新増設(リプレースを含む)を着工済み原発を含めてすべて中止し、今後地震の危険が大きい立地の原発、40年経った等の老朽炉・危険炉(敦賀原発1号機など)を廃炉にすること。断層評価を徹底的に見直し、廃炉を含め必要な対策を講じること。
D 定期点検等で運転を停止中の原子炉については、事故の収束・検証・安全(原子力安全指針・耐震基準・津波対策の抜本見直し)・地元の同意の4条件が整うまでは再稼働しないこと。
E 高速増殖炉もんじゅの稼働と青森県六ヶ所村再処理工場建設を中止すること。
F 発・送電を分離し、送電網売却で得た収入は賠償にあてること。
G 自然エネルギーを中心に据えたエネルギー政策に転換し、菅前総理が提唱した「原発に依存しない社会」への道筋を明確にすること。
H 原子力についての規制と利用・推進の分離の理念に忠実に法制化作業を進め、原子力規制行政の独立・強化を図ること。ノーリターンルールを制度化すること。
I 相手国に誠実に説明しつつ、原発輸出を白紙とすること。
@ 被災市町村への「災害一括交付金」や被災県への「震災復興基金」の創設を図ること。災害復旧事業についての積み増し・上乗せ、被災地域の再生に必要なインフラ整備予算、被災した公共交通の復興支援、復興のためのまちづくり関係予算、被災者生活再建支援制度の拡充強化、液状化・盛土崩壊等により被災した宅地の復旧対策、被災地の雇用対策の強化等の諸課題に留意すること。放射性廃棄物対策や除染事業、食品安全対策、農家等への対策、広域避難者支援等に万全を期すこと。
A 円高対策として、中小企業の資金繰り支援や雇用対策、内需拡大などに留意すること。
B 台風12号災害の深刻な被害実態を踏まえ、被害復旧・復興、被災者支援対策、産業経済の回復、再発防止などについて万全の対策を講じること。災害に強い国土作りに向けて、環境と調和する国土計画の立案を図ること。
@ 徹底した行財政の無駄の排除(例えば、高額天下り役員の削減、不要不急の公共事業の削減、一般会計・特別会計全般の見直しなど)、不公平税制の徹底是正(例えば、証券優遇税制の廃止、法人間配当無税制度や租税特別措置の一層の切り込み、所得税の累進制強化<ブランケットの見直し、最高税率の引き上げ>や資産課税の強化に向けた年次計画提示)―などで財源確保を図る努力を明確にすること。
A 法人税の5%減税は行わないこと。むしろ企業の社会的責任を喚起し内部留保の社会還元(賃上げや雇用増、課税強化など)を図ること。
@ 社会の分断・二極化、貧困と孤立化の解消、格差是正に取り組むこと。
A 子ども手当、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償政策を堅持すること。
B 依然として不足している医療・介護、福祉、子育て、教育、環境・自然エネルギー・農林水産業の分野に政府・自治体が率先して雇用を創出・拡大すること。
C 急速な少子・高齢社会の進展に対応し、社会保障の拡充を図るとともに、企業の適正な社会保障負担を求めること。
D 介護労働者の待遇改善で人材を確保し、安心できる介護制度を確立すること。
E 「障害者自立支援法」は廃止し、「制度の谷間」がなく、利用者の応能負担を基本とする総合的な制度をつくること。障がい者の雇用促進を図ること。
F 年収200万円以下の層をなくすために、中小零細企業への支援策をとりつつ、最低賃金を、当面、時給1000円以上に改正すること。
G 若者の安定的雇用の確保、女性の就業率のM字カーブの解消、年齢にかかわりなく働き続けることができる社会づくりに取り組むこと。
H 社会的排除のリスクについての実態調査、ワンストップ相談支援、「パーソナル・サポート(個別支援)」サービスの制度化など、日本社会の構造的変化に対応した「社会的包摂政策」を推進すること。
I 継続審議となっている交通基本法案の早期成立を期すこと。
J TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加は見送ること。
K 民主的で透明な公務員制度への改革を推進すること。労働基本権の回復なき国家公務員の給与削減法案を撤回すること。
@ 基地の島オキナワの現実を直視し、県民の悲痛の訴えにしっかりと耳を傾けること。普天間基地の辺野古移設の日米合意を白紙に戻し、「国外・県外」移設を追求すること。
A 普天間基地の閉鎖・返還を求め、地元や県民意思に反する、嘉手納飛行場への統合は行わないこと。
B 2012年に予定されている普天間基地へのオスプレイ配備については、危険性を増幅するものであることから、県民意思を受け、配備中止の日米交渉に取り組むこと。
C 東村字高江におけるヘリパッド建設を中止すること。
D 日米地位協定の改定を提起すること。
2012年以降の新しい沖縄振興計画策定にあたって、@「新たな沖縄振興法」の制定、A新たな「基地跡地利用法」の制定、B「一括交付金」制度の創設、C沖縄開発金融公庫の存続、D「沖縄こども特区」(仮称)の創設、E「おきなわブランド付加価値向上プロジェクト」(仮称)の立ち上げ、F「交通権」を保障するための航路・航空路の維持改善や本島縦貫の軌道系交通網(鉄軌道)の導入、G「国立やんばる自然公園」(仮称)の創設、H「沖縄国際平和研究所」(仮称)の創設などの実現を図ること。
@ 国会における審議の活性化を図るとともに、少数政党の意見にも耳を傾け、熟議や対話の政治を進めること。
A 手続法の根幹にかかわる18項目の附帯決議事項の解決もなく、全党の合意もないまま、憲法審査会を始動させないこと。
B 国民の要求の多様化・複雑化に対応した幅広い意見を国会に反映するため、議員定数削減、とりわけ比例代表定数の削減は行わないこと。選挙制度改革に当たっては各党間の協議と合意を基本とすること。
以上