2011年10月24日
内閣総理大臣 野田 佳彦 様
社会民主党党首 福島みずほ
貴職の日夜にわたるご奮闘に敬意を表します。
さて、政府は、TPP協定交渉への参加について、「しっかりと議論し、早期に結論を出す」としてきました。
TPPは、例外品目を認めず100%自由化を前提とし、かつ諸々の非関税項目の市場開放も含む包括的なFTAとされ、アメリカの軍事を含むアジア戦略の一環となっています。現在、食料輸出大国であるアメリカ、オーストラリアなどを中心とした9カ国による協定交渉が計8回開催され、農産物など市場アクセス、食品安全、政府調達、サービス、投資、環境、労働、紛争解決など24分野で交渉作業が行なわれ、11月のAPEC首脳会議で大まかな輪郭を固めるために、交渉を加速化しています。
日本政府は、APEC首脳会議が近づく中、開国や競争力、日本にプラスになるを言い出し、11月初旬に参加を表明するという方向に傾いています。
TPP交渉は、農林水産業への打撃だけでなく、医療(国民皆保険)、医薬品認可、食の安全基準(遺伝子組み換え、残留農薬)、投資(外国資本の自由化)、公共調達(公共事業)、郵政、共済など国民生活に多大な影響を与える重要な問題ですが、外交機密を理由に情報はほとんど開示されていません。
さらに、これまでのTPP参加をめぐる政府の説明では、日本の具体的なメリット、デメリットが示されていないこと、米国との貿易においてどのような効果があるのか不明であること、TPP交渉参加でどのようなルールメイキングをめざしていくのか、どのような国益を実現していくのかの目標が示されていないこと、例外品目を提示しての交渉参加は認められず、一度交渉参加を表明すれば抜けることはできないことなどの問題が明らかになっています。
つきましては、TPP交渉への安易な参加表明は、日本社会に取り返しのつかない亀裂を招くことから、参加の判断にあたり、以下申し入れいたします。
<記>
1 国民が判断、共有できうるよう24分野の交渉内容、論点、合意点などの情報を公開し、何が日本の国益となるのか、農業への打撃や国民生活への影響にどう対処するのか明らかにすること。
2 大震災からの復旧・復興、被災者への支援に全力をあげるとともに、農業を含めた国内産業、国民生活に大きな打撃を及ぼすTPP交渉への参加は見送ること。
以上
(関連)
2010年11月2日 |APEC首脳会議およびEPA基本方針におけるTPPへの加盟検討表明に反対する申し入れ