16日の各党・政府震災対策合同会議において、松本防災担当大臣及び民主党に下記の提言を提出しました。

2011年3月16日

東日本大震災に関する提言(第一次)

社会民主党東日本大震災対策本部

 3月11日に東日本地方をおそった東北地方太平洋沖地震は、未曾有の規模の大地震であり、死者・行方不明者が1万人を超える大惨事となるとともに、津波被害、家屋倒壊、火災、鉄道・道路寸断、土砂崩れなど被害の甚大さが次々に明らかになっています。まずは犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、行方不明者のご無事を願うものです。また、不自由な避難生活の中、生活再建に取り組んでいらっしゃる皆さんに心からお見舞い申し上げます。

 いまだ余震活動が続き、大津波の心配もあり、被害がさらに拡大する恐れもあります。市民生活は深刻な状況に陥っており、夜の寒さも厳しく、生活の激変からくる健康不安や生活不安など、現地の皆さんには今後とも多くの困難が予測されます。生活基盤の復旧を最優先し、皆さんが一日も早く平穏な生活を取り戻されることを願っています。

 このような災害の甚大さに鑑み、社民党としても、党をあげて、今後とも関係自治体、関係住民の皆さんの要望の実現に全力で取り組んでいく決意であり、緊急対応として、とりわけ次の諸点について提言をまとめました。政府において、これらの実現に向け万全を期されますよう申し入れます。

<体制整備>

○震災対応に万全を期すため、各省庁間を横断して統括できるよう、責任と権限を持った専任の特命大臣を設け、あらゆる知恵と手段、方策と財源を災害対策に振り向けること。

○未曾有の国家的危機であり、政府・与党は虚心坦懐に全政党の協力体制を構築すること。

<救助、救援、捜索>

○人命救助を最優先として、取り得る限りの救援体制で、津波被害や建物の倒壊などによっていまだ救出されていない被災者の救助、行方不明者の捜索、負傷者の介助などに全力を上げること。

○検視体制を強化するなど、遺体の身元確認に全力を上げること。犠牲者、行方不明者に対する相談体制を強化すること。

○全国から被災地へ就業、就学、観光などで訪れていた人々の安否確認と連絡体制を強化すること。

<被災者対応>

○飲料水、食料、ガソリン・灯油、毛布その他生活物資、ミルク、おむつ、生理用品などの衛生用品、医薬品はじめ医療対策等について、必要とされる方々に迅速に行き渡るよう、配布・補給のシステムに万全を期すこと。被災地に通じる交通路・通信網を早急に復旧・確保するとともに、ヘリや船の活用などあらゆる手段を講じること。西日本地方のガソリンや灯油などの備蓄品を活用すること。

○緊急避難をされた被災者への生活物資・避難場所の確保などの救援活動に万全を期すとともに、負傷者の治療のため医師の派遣や医薬品の確保など医療対策を早急に講じること。避難所の仮設トイレの増設や簡易トイレの配布も緊急に行うこと。

○避難している高齢者、障がい者、女性、病人、外国人等災害弱者の個々人の状況・ニーズを把握し、各個人に応じた適切な支援措置を講じること。降雨・降雪対策も含め、寒冷対策やメンタルヘルスケアにも万全を期すこと。障がい者等の実態把握、バリアフリーの確保、移動手段の確保、視覚障がい者や聴覚障がい者、外国人等に対する情報提供を的確に行うこと。福祉避難所、障がい者施設・作業所等についても状況を把握し、対応に遺漏なきを期すること。

○自主避難されている方や孤立している方の情報を的確に把握し、対応に万全を期すこと。

○被災地並びに周辺地の医療機関に対して、ガソリン、重油、食料、医薬品などが補給されるよう、最優先で対応すること。人工呼吸器や人工透析に必要な電源・医療資器材の確保にも万全を期すること。

○家屋等の倒壊、消失、津波被害などにより避難所等で不自由な生活を余儀なくされている被災住民に対して、公的宿泊施設や公的施設の開放、公務員宿舎の提供、公営・URの空家住宅の活用、民間空家住宅の活用を図るとともに、応急仮設テント・住宅の建設を急ぐなど住宅施設の確保等に万全の体制で臨むこと。

<復旧対策>

○引き続き余震や津波の影響に対する厳重な警戒を行うとともに、2次災害防止のため、抜本的な観測態勢の強化を図ること。

○上下水道、ガス、電気、電話、携帯電話などの通信連絡網などのライフラインについて、早急な復旧対策を講じるなど、被災住民の生活維持のための措置を優先すること。鉄道網、道路網など交通復旧対策を早急に進めること。

○大型公共施設・土木施設の点検を徹底するとともに、被災施設、道路、港湾施設の応急復旧に万全を期すこと。

○アスベスト対策や廃棄物処理、ガレキ処理に万全を期すこと。

<雇用対策>

○地震を理由とした不当な派遣切りが行われないようにすること。

○雇用継続のための助成金を支給すること。

○派遣の契約の継続などについて経済団体などに要請すること。

<国・自治体等の対応強化>

○国民に対し、適時的確な情報提供に全力を尽くすこと。

○国、都道府県、市町村の連携を強化すること。自治体間の全国的な応援・協力体制を構築すること。

○ボランティア団体等との連携、受け入れ・支援体制を確立すること。

○現行法上認められている国の援助を速やかに実施すること。ヨード剤の輸入など、被災者支援のため、可能な限りの法解釈や許認可等について弾力運用を行うこと。被災者への燃料や物資の提供等緊急活動等に要する経費を拡充すること。

○政府系金融機関等による無利子融資、超低利融資を行うこと。生活資金及び災害援護資金等の融資条件の緩和措置等を講ずること。緊急対策、応急対策、復旧対策に係る財政、金融、税制上の適切な措置を講じること。

○バス、鉄道、フェリーなどの公共交通機関、物資輸送企業、医療機関に燃料を優先的に供給すること。

○計画停電について、節電・大口需要家の需要抑制を優先すること。計画停電を実施する場合も、迅速・的確な情報提供に努めるとともに、公共輸送機関、医療機関、被災地などを除外すること。

○当面、10兆円規模の補正予算を迅速に編成するとともに、今後の被害の状況を踏まえつつ、必要な法制上の措置を講じるための必要な緊急立法を行うこと。