2011年3月20日

東日本大震災に関する提言(第三次)
〜計画停電について〜

社会民主党東日本大震災対策本部

 東京電力管内・東北電力管内で実施されている、地域別の輪番による「計画停電」は、国民生活や経済活動に大きな負担や混乱を与えている。

 特に停電エリアをまたいで運行される鉄道の場合は、日々ダイヤが安定せず、交通網の麻痺を引き起こす。さらに地域の商店などでは、売り上げの減少により、賃金カットや雇い止めをせざるをえないという声が上がっている。また医療機関の停電は、命に関わる重大な問題である。

 よって政府においては、現行の「計画停電」を改め、下記のような改善策を講じることを求める。

1.「計画停電」の法的根拠は

 今回の「計画停電」について、東京電力の電気供給約款か、電気事業法27条に基づく強制的使用制限か、法的な根拠を明らかにすること。

2.ゾーンではなく総量規制を(マクロ的対応)

 地域別実施では公共インフラが含まれることも多く、国民生活に重大な支障をきたすだけでなく、企業にとっても、直前にならないとどこがどう止まるのかわからないのでは、企業の生産や調達計画に弊害がある。日本経団連の米倉弘昌会長は業種別に停電日を割り振るなどの工夫が必要と指摘し、経済同友会の桜井正光代表幹事も企業ごとに電力消費の総量を決め、どの工場や事業所でどれだけ節電するかは企業の自主判断に委ねるべきだと提言している。産業活動の継続性を考えると、数時間の停電よりも、契約電力量の一定の減量などの総量規制の方が効果があることから、地域別ではなく、契約電力量の削減など需要側が電力使用の「総量規制」を実施すること。

3.ゾーンではなく選択制を(ミクロ的対応:個別対応)

 「総量規制」の導入にあたっては、ピーク需要時に停電してもよい企業を広く公募し、報奨金を与えるなどして、主体的参加を可能とすること。また、今回の計画停電による混乱や不安は、電力会社と政府が一方的に行っていることに起因するところも多い。計画停電について、影響を受ける公共機関や業界などと十分協議し、公共インフラへの影響をできる限り少なくすること。また、エネルギーシンクタンクなどのNPOやNGO等の経験や提案も活用すること。

4.電気需要量の「見える」化

 どの時間帯に停電になるのかわからないことや、すべての時間帯で一生懸命節電を心がけなければならないのかわからないことなど、不規則な停電は関係する国民に不安やストレスを与える。電気需要量を国民がつねに確認できるようにし、節電のタイミングを把握できるようにしておくため、東京電力が以前ホームページで公開していた「でんき予報」を再開するとともに、「でんき予報」(※)を随時、テレビやポータルサイトなどで公開すること。

 また、節電の呼びかけについて、抽象的ではなく、家庭用・事務所用などの対象別に、どういう行動をすればどのくらいの節電効果があるのかなど、数字を上げて細分化し、具体的な行動指針を示すこと。

※「でんき予報」:需給予想に応じた節電の協力を呼びかけるため、当日の「予想最大電力需要」や「発生予想時刻」、それに対する「供給力」や「前日の最大電力需要実績」などをテレビ、ラジオ等で告知するとともに、インターネットの東京電力Webサイトでは、朝夕の2回、直近の気象情報に基づく当日、翌日の電力需給予想を掲載していた。また、毎日1時間ごとの最大電力需要の実績値もグラフで掲載していた。

5.中期的措置

@夏期の冷房需要増に向け、夏期のピークカットに非常に有効な太陽光発電と充電設備を公共施設中心に進めること。

A東京電力の需給状況が逼迫してきた情報を受け、自動的に自動販売機の消灯、一部のエレベーターの停止、インバーターを活用した空調の能力低下、一部の照明の消灯などを自動的に行うシステムを開発し、「スマートグリット」の第一歩としても有効なデマンドコントロール(最大需要電力管理)を検討すること。

以上