2011年10月27日
経済産業大臣
枝野幸男 様
社会民主党党首
福島みずほ
枝野経済産業大臣の就任に当たって、わが国エネルギー政策を国民が望む脱原子力の方向に向けて進めることを期待し、社民党として、以下の点について要請するものである。
記
1、福島第一原発事故の収束、賠償・生活再建等に万全を期すこと
2、原発新増設計画の全面中止、老朽炉・危険炉の廃炉、核燃料サイクルからの撤退など、脱原発を具体化すること
3、原子力規制行政の独立・強化をはかるとともに、安全対策を徹底すること
4、原子炉再稼働の条件及び手続きを厳格かつ明確なものとし、福島第一原発事故検証や安全対策を最優先させること
5、電力需給対策およびエネルギー政策の見直しに当たっては透明性・公開性・市民参加を確保すること
6、透明性・公開性を確保しつつ、脱原子力・自然エネルギー促進に政策を総動員すること
7、地域独占体制解体、発送電分離、総括原価方式見直し等の電力改革や、原子力予算・エネルギー特別会計等の税財政・制度見直しに全力で取り組むこと
以上
2011年10月27日
社会民主党
@ 国の責任で国内外の叡智を利権・思惑を排除しつつ結集する体制を築き、福島第1原子力発電所事故の一刻も早い収束を図ること
A 被害の賠償及び被害者の生活再建に万全を期すこと。住民、とりわけ子どもや妊婦の自主避難を、財政措置を含めて支援するとともに、東電に対して、自主避難者への補償をはじめ、個別事情を踏まえた賠償対応、被害者目線での手続き等につき引き続き厳しく指導すること。
B 住民主体の除染活動を国として支援する等、除染に万全を期すこと。国の財政支援対象を限定せず、住民の早期帰還と安心・安全を最優先として、自治体・住民による計画を全面的に支援すること。十分な情報提供と基準の明確化に、特に留意すること。また、除染費用が適切に補償されるよう東電を指導すること。
C 住民の健康管理および被害補償については、国の責任において、期間・範囲等を区切らず、万全の対応を確保すること。
D 乳幼児・妊婦の感受性を十分に勘案しつつ、食品安全対策を徹底すること。新たな食品安全基準の早期策定に尽力するとともに、それまでの間も暫定規制値を所与とせず、安全側に立って対応すること。
E 労働者の被曝対策・健康管理に遺漏なきよう東京電力を厳しく指導すること。
F 事故および収束作業に係る政府及び東京電力の情報公開を徹底すること。
G 原子力災害による被災地域の再生に関する特別法(福島再生特別法)を制定すること。
@ 原子力発電所の新増設計画(リプレースを含む)を着工済み原発を含めてすべて中止すること。
A 地震の危険が大きい立地の原発、老朽炉(30〜40年経過等)・危険炉(マーク1型等)などを廃炉にすることとし、その手続きを明確化すること。
B 福島第一、福島第二、浜岡原発を廃炉とすること。
C 高速増殖炉もんじゅを稼働せず、廃炉とすること。
D 青森県六ヶ所村再処理工場建設を中止し、核燃料サイクル・プルサーマル計画から撤退すること。
@ 原子力規制行政の独立・強化をはかること。来年4月発足の新機関の名称は「原子力規制庁」とすること。また、ノーリターンルールを制度化すること。
A 「原子力発電に係るシンポジウム等についての第三者調査委員会」の最終報告を踏まえると同時に、原子力行政についてさらに広範に検証し、その歪みを徹底的に解明すること。各電力会社・関係自治体における調査・検証作業を引き続き強く促すこと。
B 安全設計審査指針、耐震設計審査指針等の指針・基準類や耐震バックチェック、津波対策等を抜本的に見直し/やり直し、必要な対策を講じること。
C EPZ(防災対策重点地域)拡大をはじめ防災指針を抜本的に見直し、防災体制を再構築すること。また、事業者と立地近隣自治体との原子力安全協定締結を促進すること。その他、防災体制の見直し作業の進展に合わせて、自治体からの要望に真摯に応えること。
@ 定期点検等で運転を停止中の原子炉については、事故の収束・検証・安全・地元の同意の4条件が整うまでは再稼働しないこと。
A 地元自治体の同意手続きを明確化すること。形式的に手続きを整えるに止めず、住民・自治体への説明・意見聴取に万全を尽くすこと。「地元」は立地自治体のみではなく、周辺も含めて広く捉えること。
B 福島第一原発事故検証の知見が反映されていない等欠陥の多い現状のストレステスト一次評価のみを以って再稼働判断をしないこと。
C ストレステストの評価手続き、各主体の役割および基準を明示すること。特に公開性・透明性・第三者性を確保すること。
@ 電力需給に係る情報を完全に開示すること。今夏の詳細なデータを開示するとともに、きめ細かな分析・検証を提示すること(需要構造、需要者別・対策別など詳細な節電効果、需給調整契約の実績、一般水力・揚水の稼働データ、自家発活用状況など)。
A 総合資源エネルギー調査会とエネルギー・環境会議の審議や資料を全面公開し、今後とも例外を設けないこと。その際、幹事会等を含めプロセス全体を公開対象とすること。
B 反対派・慎重派委員の登用やネット中継などをアリバイに堕すことなく、各種会議の公正・透明な運営およびヒアリング、パブリックコメントなど市民参加のプロセスを実質的な形で確保すること。
@ 再生可能エネルギー特措法における調達価格等算定委員会の人選は、法の目的を踏まえた審議が行われるよう、大臣のイニシアティブにおいて行うこと。
A 同委員会の会議及び資料の全面公開、関係する情報・データの全面開示など、法律運用に係る透明性を確保すること。
B 法第5条接続拒否の要件を国会審議を踏まえ明確化し、優先接続の原則が恣意的に歪められる余地を排除すること。
C 国会審議の経過および法案修正の趣旨等を踏まえつつ、自然エネルギーを飛躍的に普及させる目的に沿って買取対象・期間・価格を定めること(コストベースの期間・価格設定、住宅用太陽光の全量買取、既存施設からの買取など)。
D 自然エネルギー中心の小規模分散/地産地消のエネルギーシステムを推進するとともに、省エネ・節電、スマートメーター・スマートグリッドに対する投資促進策/導入支援策を大幅に拡充すること。
E 原発輸出については、国内外での説明の使い分けや曖昧な姿勢をやめ、相手国に誠実に説明しつつ、既存案件を含め全面白紙とすること。
@ 電力会社が、賠償負担や燃料費増等を理由に値上げを申請した場合には、透明な手続きで徹底的に審査し、原則として値上げを認めないこと(諸検証・検討作業で結論を得るまでの間は申請そのものを受け付けないこと)。発電コストを公開の場で徹底的に検証するとともに、総括原価方式を早急に改めること。
A 送配電網を公共財として位置付けつつ、地域独占体制の解体、発送電分離、総括原価方式の全面見直しなど電力改革を重点分野として取り組むこと。送電網売却で得た収入は賠償にあてること
B 原子力予算・エネルギー特別会計、再処理等積立金を賠償、事故処理、自然エネルギー促進などに活用すること。
C 立地自治体が原発に依存しない自立的・内発的な発展を目指せるよう、税財政・制度等のあり方を早急に検討すること。
D 原子力に関するネット上の言論を検閲する「原子力安全規制情報広聴・広報事業」をただちに中止すること。
以上