「成人の日」アピール

 本日、成人の日を迎えられたみなさん、こんにちは。

 私たち社民党は、21世紀の社会が平和で希望に満ちたものであることを心から願い、その社会を創造するみなさんのはかりしれない可能性に、大きな期待をよせています。

 昨年は日本にとって、決して忘れられない年となりました。東日本大震災の爪痕は大きく、今もなお、被災住民は生活再建の展望が描けず不安の中で暮らしています。さらに、東電福島原子力発電所の事故による放射能汚染は広範囲にわたり、その影響は食物等を通じて日本全国に及び、国境をも超えています。この事故の惨禍は、私たちに「原子力依存からの脱却」という重要な課題と教訓を残しました。今こそ「脱原発」を実現し、安心安全な再生可能エネルギーを基盤におく新しい社会を築いていかねばなりません。今、たくさんの若者たちが復興支援のために立ち上がり、被災地で支援の輪を広げていることは、日本の大きな希望です。

 しかし一方で、悪化する雇用環境は特に若い世代に冷酷で、就職難や高失業率、不安定・低賃金の非正規雇用を余儀なくされている現状にあります。就職活動をしているみなさんも、現在働いているみなさんも、不況という現実に行く手を阻まれ、不安や諦め、憤りのなかで暮らしているのではないでしょうか。仕事が不安定だと心も不安定になります。結婚や子育てなどの人生設計も考えられなくなるでしょう。

 社民党は、非正規雇用やワーキングプアの深刻な問題の改善にずっと取り組んできました。仕事は生活の要であり、まず社会のスタートラインに立てる環境を保障し、生活の安心を守るのが政治の役割です。社民党は、「若者が希望に満ちあふれる社会を実現する」ために若年者雇用対策を提言しています。労働者が「モノ」として扱われるのではなく「人間らしく」働けるように、労働者派遣法の改正や労働法制の強化に取り組み、働く人たちの労働条件の向上に努めていきます。

 また社民党は、「日本国憲法」の理念を暮らしに生かすことこそが、人々の幸せへの道だと考えています。憲法には、永久不戦を誓った憲法9条をはじめ、生存権や幸福追求権、勤労権など、誰もが切り捨てられず人間らしい生活を送れる権利や保障が明記されています。現在国会では、震災にかこつけた憲法改正論議が始まっていますが、その最終目的は、諸権利の制限であり日本を戦争の出来る国にしようというものです。

 大震災や原発事故、格差拡大などで様々な権利が侵害されている今こそ、憲法の理念を生かした「いのちを大切にする政治」の実現が求められています。社民党は、憲法改悪の策動を阻止するとともに、消費税率の引き上げや沖縄普天間飛行場の辺野古移設の日米合意など、民意を無視し財界や米国におもねる政府の姿勢を厳しく追及していきます。

 20歳になったみなさんは、選挙権をはじめ様々な権利が発生し、また責任も負うようになりました。みなさんに知っていただきたいのは、政治は日々の暮らしに直結したものだということです。社会のあり方、一人一人の働き方や暮らし方、人生までも決めるのが政治であり、その方向性を決めるのは「国民主権」のみなさんの声なのです。

 社民党は、若い人たちが政治・社会に関心を持ち、様々な分野で活躍されることに大きな期待を持っています。未来を担う若者が活躍できる機会をつくるとともに、就業や修学、生活環境など若者が社会生活を送るうえでの困難を解消し支援していくための施策に全力をあげ、みなさんのこれからを応援することをお約束します。

 人と人との絆を大切に、平和で未来に希望のもてる社会を一緒に創っていきましょう。

 本日は、本当におめでとうございます。

2012年1月9日
社民党党首 福島みずほ
福島みずほ