2012年3月29日
社会民主党党首
福島 みずほ
1.本日法務省は、東京拘置所で1人、広島拘置所で1人、福岡拘置所で1人、計3人の死刑を執行し、死刑囚の氏名や犯罪事実を公表した。社民党は死刑制度が人権に反するものとして、その存置に強い疑問を呈してきた立場から、今回の3人の死刑執行に強く抗議する。
2.今回の執行は、一昨年の7月28日の執行以来、1年8ヶ月間ぶりに行なわれた。小川敏夫法務大臣は、1月の就任直後の会見で「職責を果たしていくのが責任」と執行に積極的な考えを明らかにし、3月には死刑制度に関する法務省内の勉強会も打ち切った。今回の執行理由について小川法務大臣は、「死刑制度に対する世論調査や裁判員裁判で、国民の死刑への支持があることを重視した」としている。しかし、勉強会でまとめた報告書には「残虐な刑罰」や「冤罪による執行の恐れ」などが指摘されており、今後も法務省内で議論し検討していくはずである。一方で人を処刑し、他方で死刑についての議論を行なうことは矛盾しており、死刑制度についての検討段階で死刑執行を続けることは、死刑の正当化を後押しするものになりかねず、重大な疑義がある。
3.1989年の国連総会で「死刑廃止を目指す、自由権第二選択議定書」(死刑廃止条約)が採択されたが、日本はこの条約を未だに批准していない。2007年12月には、国連総会で死刑の執行停止を求める決議がされた。さらに、2008年6月初旬に開かれた国連人権理事会の作業部会でも、多くの国が日本の死刑執行継続に懸念を表明し、日本政府に対し死刑の停止を勧告した。国連総会は2008年12月18日にも、死刑執行の一時停止などを求める決議案を採択した。2年連続の採択は、死刑の廃止が国際社会の共通の意思となりつつあることを示している。しかしながら、日本政府は一貫して、死刑制度の廃止に向かう世界の流れを無視しつづけている。
4.政府および小川法務大臣が「職責」を果たすべきは、国際人権基準に沿った法改正への道筋をつけることである。死刑制度については、勉強会の成果を踏まえて、存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方についてより開かれた国民的な議論を尽くし、その間、政府は死刑の執行を停止すべきである。社民党は今後も、死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。
以上