2012年3月30日

消費税増税法案の閣議決定について(談話)

社会民主党幹事長
重野安正

 

1.政府は本日の閣議で、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行う」ためであるとして、消費税率引き上げ関連2法案を決定した。野田政権は消費税率引き上げにのめり込んでいるが、今、政治生命をかけてやるべきは、東日本大震災からの復興、原発事故の収束、国民生活の再建と景気対策に全力を挙げることである。社民党は、被災者を苦しめ、家計に大きなダメージを与え、景気回復に逆行し、不公平を拡大する消費税率引き上げには反対である。

2.非正規雇用が4割に達し、デフレ不況も続き、勤労者の所得が13年間下がり続ける下で、「震災復興増税」を課し、法人税は5%引き下げ消費税倍増は許されない。消費税の倍増によって、格差はより拡大し、生活破壊に拍車がかかり、個人消費の縮小や中小企業へのしわ寄せなどをもたらし、デフレからの脱却に逆行する。復旧・復興に懸命に取り組む被災地・被災者にもさらなる負担増をもたらす。逆進性緩和策も具体像が見えない。

3.政府・与党の「社会保障・税一体改革」は、あるべき社会保障の姿を描いて、どれだけ財源が必要なのか、負担はどうあるのが公平化かというものではなく、社会保障を口実にして、2014年4月に8%、2015年10月に10%へと消費税引き上げを行い、その後さらなる消費税アップを目指すものにほかならない。「一体改革」といいながら、税以外の負担である保険料や窓口負担、事業主負担をどうするかということや、消費税以外の税についての十分な検討もない。関連法案の提出もばらばらで、一体改革の体をなしていない。

4.しかも引き上げの5%分の多くは、現状を維持するのに使われてしまって、社会保障の充実に直接回るのは1%分にすぎない。社会保障分野では、「受益(給付)と負担のバランス」、「世代間・世代内格差是正」、「社会保障給付の効率化・重点化」への対応という形で、「人権としての社会保障」の変質が目指されており、また、医療崩壊、介護難民、待機児童、年金の空洞化などの問題にも応え切れていない。

5.菅直人元総理が「逆立ちしても鼻血も出ないほど、完全に無駄をなくしたと言えるまで来たとき」と言っていたが、不要不急の公共事業、原発予算、防衛費や米軍への「思いやり予算」の削減、国から補助金や事業発注を受けた法人への支出の徹底した見直し、高額天下り役員の削減、企業の社会保険負担の是正、特別会計の積立金・剰余金の活用、租税特別措置など不公平税制の徹底是正(「法人間配当無税」約2兆円含む)、法人税・所得税・相続税等の累進制強化や資産課税の強化が先決である。日本はOECD諸国の中で唯一、税や社会保障の再配分後に貧困率が上がるといういびつな再配分構造にあり、税や社会保険料のゆがみをたださないといけない。また、社会保障の空洞化の大きな要因となっている、雇用の空洞化や格差・貧困の拡大に対する是正を行うべきである。

6.もともと、「社会保障・税一体改革」は、社会保障国民会議や安心社会実現会議の報告と多くの共通点があり、自公政権の延長線上のものである。「現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」という「スーパー・マニフェスト」は2年半前の国民への約束である。民主党政権が、「国民生活が第一」、「生活再建」路線から乖離し、政権交代に託された国民の期待を裏切ることは許されない。税金のムダづかいの一掃、国民の可処分所得の向上、消費の拡大を通じ、安定した経済成長を実現し、国民生活の立て直しを図っていくことに全力で取り組むべきである。

7.社民党は消費税倍増反対運動を強化するとともに、国民生活擁護のための政治勢力の総結集に全力を上げる。

以上

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