2012年4月13日

北朝鮮によるロケット発射に抗議する(談話)

社会民主党幹事長
重野安正

 

1.本日午前7時39分頃、北朝鮮は同国北西部の東倉里にある西海衛星発射場から、「人工衛星を運搬するロケット」を発射した。ロケットは1分以上飛行し約120kmまで上昇したが、その後数個に分解され朝鮮半島西岸の黄海に落下し、事実上失敗に終わった。今回、北朝鮮は、国際機関に打ち上げを通報(3月16日)し、関係書類の提出や外国メディアへの発射施設の公開など情報開示には努めたが、「弾道ミサイル技術を使ったいかなる発射」も実施しないよう求めた国連安全保障理事会決議に違反する疑いが強く、他国の領土と領海内に落下する可能性がありながら発射を実施したことは、まことに遺憾であり、国際社会の意思を無視した発射に断固抗議する。

2.北朝鮮政府は、平和的な宇宙開発のための「人工衛星」であり、使用燃料の違いなどから「弾道ミサイル」ではないと主張している。しかし、「人工衛星」打ち上げロケットと弾道ミサイルを区別することは難しく、北東アジア地域の平和と安全に悪影響をおよぼしかねないことは明らかである。社民党は、打ち上げ自制を求める外交的解決に向けた努力が必要との立場から、北朝鮮政府が国際社会の声に真摯に耳を傾け発射を自制することを強く求め、3月23日の参議院および4月12日の衆議院での国会決議にも賛成した。

3.日本政府は、「万万が一の事態」に備えるとして、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の実施に関する自衛隊行動命令(破壊措置命令)」を発令し、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦を日本海及び東シナ海へ配備するとともに、地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC−3)部隊を首都圏並びに沖縄本島、宮古島及び石垣島へ展開した。連日の報道で国民の不安を煽りながら、「北朝鮮の脅威」を口実にして、PAC−3配備やミサイル防衛システムの整備・強化、さらには「南西諸島防衛」の名目で自衛隊の沖縄展開に利用することは、北東アジアの緊張関係をかえって増幅しかねない。日本政府は、六カ国協議に加わっている中国やロシアを含めた国際的な協調体制を強化すべきである。

4.北朝鮮は、「核開発凍結」に合意し協調姿勢を見せる一方で、発射を決行した。これでは、六カ国協議の道が断絶され、「国威発揚」とは裏腹に自国の不利益に繋がり、北東アジアの緊張を高めるだけである。社民党は、宇宙空間の平和利用と国際協力を定めた宇宙条約の目的に沿った行動をとるよう求める。

以上