2012年4月27日
社会民主党幹事長 重野 安正
1.自民・公明政権は、「郵政民営化は改革の本丸。社会保障が充実し、景気回復や安全保障にまで効果が出る」とまで言いきって、郵政民営化を強行した。しかし、為替や振り込みを中心にした各種料金の引き上げ、時間外窓口の縮小、簡易郵便局の閉鎖、局外ATMの撤去など、「民営化すればサービスはよくなる」、「郵便局はなくならない」とはいえない実態が露呈した。「かんぽの宿」の一括譲渡問題をはじめ、さまざまな疑惑や利権問題なども噴出した。
2.2009年9月、小泉構造改革路線からの転換を目指した政権交代を受け、民社国3党は、国民生活の確保、利便性の向上、地域社会活性等を目的に、郵政事業の抜本的な見直しに取り組むとして、郵政事業の4分社化の見直し、ユニバーサルサービスの再構築、郵便・貯金・保険の一体的なサービスの確保、株式保有を含む日本郵政グループ各社のあり方の検討などで合意し、2010年に郵政改革関連法案を提出するに至った。
3.残念ながら社民党が政権に参画している間に、郵政改革関連法案の成立を見ることができなかったものの、その後も郵政事業の抜本的見直しの実現に向けて国会内外で取り組んできた。ようやく本日の参議院本会議で、議員立法による郵政民営化法改正案が成立するに至った。今回の法案は、郵政民営化の目的規定の改正、現行5社体制の4社体制への再編とともに、金融2社(ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険)の2017年9月末までの株式全量売却(完全民営化)について、1/3超を残して売却した後は持株会社の経営判断に委ねることとして、努力規定に修正するとともに、株式の処分期限も撤廃し、株式売却等についても事実上の歯止めをかけている。また、「役務が利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的に利用できるようにするとともに将来にわたりあまねく全国において公平に利用できることが確保されるよう、郵便局ネットワークを維持する」、「郵便局ネットワークの活用その他の郵政事業の実施に当たっては、その公益性及び地域性が十分に発揮されるようにする」、「政府は、郵政事業に係る基本的な役務の履行の確保が図られるよう、必要な措置を講ずる」などとして、ユニバーサルサービスの確保も図るものとなっている。
4.もちろん、鳩山連立政権下で提出した郵政改革関連法案を取り下げ、郵政民営化法の改正の形で成立するなど、郵政改革関連法案に比べれば、法の形式や内容において不十分なところは否めない。しかし、社民党は、現下の厳しい政治情勢の下、小泉路線の修正・転換を図る第一歩であるとして受け止め、過疎地など簡易郵便局3300の維持、21万人余の郵政非正規労働者の雇い止めの阻止などの改善、利権されかけた「かんぽの宿」等資産の保全などを求めつつ賛成した。
5.TPP協議でアメリカ側から郵政の扱いが注目されているが、今回の改正法案の成立を受けて、国民・利用者のために、全国の貴重な郵便局ネットワークを維持するとともに、三事業の一体的サービス提供を保障する仕組みを立て直すべきである。郵便局ネットワークを高齢社会に対応した地域コミュニティの再生のための生活拠点、地域防災や災害時の拠点として活用することや、地域に由来する資金であるゆうちょ資金を地域に還元し、地域振興や「新しい公共」を支えるNPOや社会的企業、中小企業や女性起業家などに貢献するものとしていくことなども目指していきたい。社民党は、引き続き国民・利用者の視点に立って、郵政事業の諸課題の監視・検証を進めるとともに、郵政事業の改革・発展に向けて取り組んでいく決意である。
以上