2012年6月15日

「社会保障・税一体改革」の修正合意について(談話)

社会民主党幹事長
重野安正

1.本日、民主党、自民党、公明党は、「社会保障・税一体改革」関連法案の取り扱いについて、修正の上今国会での成立を図ることで合意した。片方で特別委員会で審議を続けながら、重大な問題を特定の党派だけで修正協議し、委員会で質問しても「実務者で協議中」、「審議している法案が修正でどうなるかわからない」というのは、国会審議の形骸化にとどまらず、増税のための茶番劇と言わざるを得ない。社民党は、3党による「社会保障・税一体改革」関連法案の修正協議=密室談合に反対であり、しかも会期末に向けて談合結果を押し付け、強権的に採決を図ろうとすることは、国会を空洞化させ、立法府を破壊する行為に等しく断じて許されないと考える。

2.修正協議によって、民主党は2009年の政権交代で約束したマニフェストの主要項目である後期高齢者医療制度の廃止や最低保障年金も先送りされ、パートなど短時間労働者の厚生年金・健康保険適用も縮小、幼稚園と保育所を一体化させた「総合こども園」も撤回、所得税の最高税率引き上げや相続税や資産課税なども先送りされた。逆進性対策も具体化がなされないままとなった。

3.野田政権が進める「社会保障・税一体改革」は、社会保障の負担増・給付減と消費税増税の一体改悪を狙ったものであり、薄皮の社会保障、中身は消費税増税たっぷりの毒饅頭とも揶揄されてきたが、今回の修正協議によって、その社会保障部分でさえ先送り・撤回・後退が相次ぎ、結局消費税増税だけが残る結果となった。「社会保障・税一体改革」を進めてきた学者からも、「ビジョンが全体として受け継がれているとは思えない」、「改革が矮小化されてきた」、「社会保障の機能強化なのか削減なのかも判然としない」などの指摘が出されている。社会保障の充実のために消費税増税もやむなしという期待すら裏切られ、「社会保障・税一体改革」自体が増税のための口実にすぎなかったことが暴露された。

4.2009年の政権交代の原動力は、税金のムダづかいを一掃し、国民生活を支援してほしい、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげてほしいという国民の期待であった。連立政権で4年間増税しないと誓ったし、国民は増税など頼んでいない。今回の合意を持って民主党政権は、「国民生活が第一」路線に期待した国民を最後的に裏切り、ついに政権交代で否定された自民党と同化してしまったと言わざるを得ない。

5.逆進性のある消費税の増税は、デフレ脱却に逆行し、家計を大きく直撃し、被災地の復興にも困難を強いる。歳出の徹底的な見直しも不公平税制の是正もなされていない。社会保障目的税化も需要がある限り自動的に税率が引き上げられ、必要な税率アップができないと不足分がそのまま給付水準の低下につながってしまう。国民の多数は、今回の消費税増税に反対であり、世論調査でも「今の国会で採決すべきでない」との意見が圧倒的な多数である。「民主も増税、自民も増税」という中で、いのちを大切にする政治、生活再建の実現を目指し、社民党は国民の多数が反対していることに確信をもって、今回の消費税増税法案の廃案と野田内閣の退陣を求めて全力を上げる。

以上