2012年8月8日

「2012年度人事院勧告・報告」について(談話)

社会民主党幹事長 重野安正

1.人事院は本日、国会及び内閣に対して、2012年度の国家公務員一般職の月例給の改定及び一時金(期末・勤勉手当)の支給月数の改定を見送ることなどを柱とする給与勧告を行い、あわせて、国家公務員制度改革関連法案に関する論点や高齢期職員の雇用問題、人事上の諸課題への取り組みなどに関する報告を行った。今回の勧告は、国家公務員給与改定臨時特例法による給与減額が実施されている中での異例な勧告となっており、減額前の較差を算出し、あわせて減額後の較差も算出しているが、減額後の較差7.67%、28,610円というのは、臨時特例法による給与減額が民間相場実態とあまりにもかけ離れた引き下げであったことを示している。にもかかわらず、「未曾有の国難に対処するための臨時特例」などを理由にその是正を見送ったのは、中立公正な第三者機関としての役割を放棄したに等しく、労働基本権制約の代償措置を果たし得ていないと受け止めざるを得ない。

2.前回勧告の、40歳台以上の月例給の引き下げ、現給保障の段階的廃止に続き、今回、50歳台後半層の給与上昇を抑制するために、昇給・昇格制度を見直すことが勧告されている。50歳台後半の官民の格差を理由としているが、公務と民間の役職構成の違い、昇進管理のあり方や諸手当のあり方の違いなども勘案すべきであり、年齢を理由に昇給や昇格を抑えることは、職務給や能力・実績主義という公務員給与の基本原則に照らして疑問が残る。しかも労働側と十分な交渉・協議や合意もないまま、来年1月から昇給抑制及び昇格メリットの引き下げを実施しようとしているのは、特例減額期間中で約1割カットが行われ、近くにも退職手当の大幅減額も予定されている中において、拙速かつ過酷な措置であり、職員の士気にも大きな影響を及ぼすのではないか。

3.民間の産業構造の変化や、民間企業における組織のフラット化等への対応については、関係労働組合と十分協議して検討を進めるべきである。また、人事行政上の諸課題については、引き続き実効性ある超過勤務縮減対策、男女平等の公務職場の実現、メンタルヘルス対策の一層の強化、「法の谷間」におかれ、低賃金で不安定な雇用・労働条件にある非常勤職員の制度・処遇の改善などを求めていく。

4.今回の勧告において、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告の限界が浮き彫りになっており、公務労働者の労働基本権を回復し、国民のための民主的で透明な公務員制度の実現に道筋をつけることが求められている。まずは提出されている国家公務員制度改革関連法案の早期成立を強く求める。

以上