2012年8月9日

野田内閣不信任決議案の否決について(談話)

社会民主党幹事長 重野安正

1.社民党をはじめとする野党5会派は、民主党の政権公約に違反し、国民の多くが反対している消費税増税法案の阻止の一点にしぼって野田内閣不信任決議案を提出した。しかし、本日の衆議院本会議では、民自公3党の野合によって、消費税増税に反対する国民の怒りの結晶である不信任決議案が否決された。国民の思いを形として実現できなかったことはきわめて残念である。

2.民主党のマニフェストには、消費税率引き上げは一言も触れられていないし、2009年9月の鳩山政権樹立の際の三党政策合意は、「連立政権は、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やし、消費の拡大につなげる」、「現行の消費税5%は据え置くこととし、今回の選挙において負託された政権担当期間中において、歳出の見直し等の努力を最大限行い、税率引き上げは行わない」としていた。可処分所得を増加させ、国民生活を立て直すのが先なのに、消費税増税で負担増をおしつけるのは全く真逆である。

3.今回の消費税増税法案は、家計や被災地に厳しい負担増をもたらすうえに、逆進性対策は不十分、不公平税制の是正は先送り、中小零細事業者への「損税」押しつけと、欠陥だらけの法案である。しかも三党合意に基づく修正で、消費税収を公共事業にも回せるようになり、社会保障充実のための消費税増税ということ自体レトリックにすぎないものであることが明らかになった。私たちは他の案件に優先して内閣不信任決議案を採決せよと主張してきたが、「三党合意を潰してでも解散に追い込め」という自民党と、「三党合意を壊してでも解散を避けろ」という民主党の間の化かし合いに翻弄され、結局、消費税増税法案や不信任決議案も党利党略、私利私略のもとに取り扱われるに過ぎなかった。民自公3党の国民不在の動きは理解不能であり、政治不信を募らせるばかりである。

4.しかも直近の世論調査では、野田内閣の支持率は「危険水域」を遙かに下回り、国民の支持を失っていることは明々白々であり、到底信任することはできない。加えて、何よりも、原発ゼロを求める多くの国民の声、TPP参加反対の声、普天間基地の移転を求める沖縄県民の声、危険なオスプレイ配備反対の声、障害者自立支援法の抜本的見直しを求めてきた障がい者の声、「黒い雨地域」の拡大を求めてきた被爆者の声、差別を恐れ申請をためらってきた水俣病の患者の声など、国民の声や期待に耳を傾けず、「音」としてしか認識できない野田政権の正統性は失われていると断ぜざるを得ない。

5.民主党に期待されていたのは、大企業中心、アメリカ依存、官僚主導の政治ではなく、国民本位、アジア重視の自立と共生、政治主導である。過半数の国民は今でも消費税増税に反対し、さらに多くの国民が今国会で増税法案を成立させる必要はないと答えている。しかし本来やるべきことをやらずに、なぜ自公政権下から進められてきた一体改革に命をかけるのかわからない。それでも、政治家として消費税増税が必要だと考えるなら、「近いうち」とは言わず、法案の採決の前に衆議院を解散し、消費税増税に対する国民の信を問うべきである。社民党は、国民とともに、最後まで消費税増税法案の成立とその後の社会保障の切り捨てに反対する。民自公の三党談合体制に対し、来るべき総選挙で民意とともに鉄槌を下したい。

以上