2012年8月29日

動物愛護管理法改正案の成立に当たって(談話)

社会民主党環境部会
部会長   中島 隆利

 本日、衆院環境委員長提案の「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律案」が参院本会議で社民党を含む全会一致で可決、成立した。今回の改正は、2006年の同法改正における5年後の検討規定に基づくもので、民主党のWT中心に検討が行われ、各党との調整の上合意が図られたものである。

 焦点の一つは犬・猫の幼齢個体の販売規制、いわゆる「8週齢規制」の是非である。動物愛護団体からは親と引き離す時期が早すぎると吠える、噛むなどの問題行動が起こりやすく、結果として殺処分となるペットが増えることから欧米並みの8週齢規制が求められていた。今回、引き渡し禁止期間を初めて盛り込み、生後56日を本則として規定することになったことは評価できる。しかし激変緩和措置として、法施行後3年間は45日、その後は別に法律で定める日まで49日とされたのは遺憾である。

 もう一つは、実験動物への法規制である。世界的には、動物実験施設の登録制や届出制による動物実験の実態把握や、3R(削減・苦情の軽減・代替)原則の推進などによって、実験動物の適正な保護管理と福祉の向上が図られていることもあり、動物愛護法の中で、実験動物に関する規制を強化することが求められていた。しかし、実験動物に関する規定を盛り込むこと自体が見送りとされたのは本当に残念である。

 本改正案は、以上のような不十分な点や懸念される点も残っているものの、動物取扱業の区分設定、特に犬猫等の取扱業の規制強化、狂犬病予防法・鳥獣保護法・種の保存法・特定外来生物法違反で有罪となったものの動物取扱業の登録拒否、業者による持ち込みなどの引き取り拒否事由の新設、殺処分がなくなることを目指した返還・譲渡の努力規定、多頭飼育についての虐待の可能性を根拠とした勧告・命令、自治体の条例による届出制の導入、虐待を発見したときの獣医師の通報努力規定、罰則の強化など運用次第では動物保護を大きく前進させる内容も盛り込まれていることから、社民党は最終的に賛成することとした。

 今後、幼齢個体の販売規制については、「45日」「49日」「56日」の科学的知見を集めるための調査研究を環境省が実施したうえで結論を出すことになる。さらにマイクロチップ装着の是非や費用対効果、さらには実験動物の規制のあり方、犬猫等の取扱業の許可制導入、国民の意識啓発やペット教育、都道府県等が引き取りを拒否した際の犬猫の取り扱いなど、多くの課題が残されている。社民党は、「動物の命」と「人と動物の共生」の考え方に基づき、今後とも運動団体の皆さんとの連携を強化しこれらの課題の実現に全力で取り組む決意である。

 

以上