2012年9月19日
社会民主党党首 福島みずほ
1.本日、原子力安全規制を新たに担う「原子力規制委員会」が発足した。同委員の人事は国会の同意案件であるが、社民党など野党7党の反対で第180回国会会期中に同意を得ることができず、野田総理は設置法の例外規定を持ち出して閉会中の発足を強行した。さらに「緊急事態」を理由に事後同意さえ不要との考えを表明しているが、このような著しい国会軽視は断じて認めることはできず、強く抗議するものである。
2.原子力規制委員会設置法7条7項3号は、原子力事業者等の委員就任を禁止しており、政府指針「原子力規制委員会委員長及び委員の要件について」では、直近3年間に原子力事業者等の役員・従業者だった委員の就任も禁止している。今回任命された田中俊一委員長、中村佳代子委員、更田豊志委員の3名は明らかに設置法の欠格要件にあたる違法人事である。「委員選任時に辞職していれば欠格要件に該当しない」という政府の見解は、設置法の趣旨に反するもので認められない。
3.また、原子力規制庁長官には池田克彦前警視総監が起用された。政府は、「危機管理の経験を重視した」としているが、再び原発事故が起こることを想定しているかのような人選は、規制法設置の趣旨と大きく乖離するものである。これまでにも警察OBが電力会社やその関連会社に天下りしてきた慣行が指摘されており、原子力の「規制」の要としての適性には疑問がある。
4.政府の新たなエネルギー・環境戦略では、「2030年代の原発ゼロ」を掲げ、原発の新増設を認めないとしているが、建設中の原発は例外扱いし、電源開発大間原発の建設再開を容認するなど、野田政権の行動は矛盾している。福島第一原発の事故収束宣言、大飯原発再稼働に続き、今回の規制委員会人事でも世論を無視した野田政権は、もはや「原子力ムラ」傀儡政権の誹りを免れない。
5.政府へのパブリック・コメントや意見聴取会などこの間の調査でも、国民の大半が原発ゼロを望んでいることは明白である。3.11の教訓から創設された規制委員会が、再び惨劇をくり返すことがあってはならない。社民党は、「原子力ムラの影響排除」、「利用と規制の分離」、「国民の信頼回復」など設置法の趣旨に沿った、「中立性・透明性」が確保された規制組織となるよう、この委員会人事の撤回と人選の再考を政府に求めていく。
以上