2012年12月12日
社会民主党
1.本日午前9時49分頃、北朝鮮は同国北西部の東倉里にある西海衛星発射場から、「人工衛星を打ち上げるロケット」を発射した。機体は沖縄県上空を通過し、10時5分頃にフィリピンの東方約300キロの太平洋に落下したとみられている。また、機体の部品と見られる落下物は黄海と東シナ海にそれぞれ落下した。いずれの落下物も北朝鮮が事前予告していた海域内に落ちたが、他国の領土と領海内に落下する可能性がありながら発射を決行したことは、きわめて遺憾であり強く抗議する。
2.北朝鮮政府は、「地球観測衛星を運搬するロケット」と主張しているが、衛星打ち上げロケットと弾道ミサイルは技術的には同じもので区別することは難しく、北東アジア地域の平和と安全に悪影響をおよぼすことは明らかだ。弾道ミサイル技術を利用した北朝鮮のロケット開発・発射の停止を求めた国連安全保障理事会決議にも違反する。北朝鮮政府は、国際社会の声に真摯に耳を傾け、発射を自制すべきであった。
3.日本政府は、「万が一の事態」に備えるとして、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル等に対する破壊措置等の実施に関する自衛隊行動命令(破壊措置命令)」を発令し、海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を搭載したイージス艦を日本海及び東シナ海へ配備し、地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC−3)部隊を首都圏並びに沖縄本島、宮古島及び石垣島へ展開させた。破壊措置を実施には至らなかったが、政府がこの機会に乗じて「北朝鮮の脅威」を煽り、ミサイル防衛システムの整備・強化、さらには「南西諸島防衛」の名目で自衛隊の沖縄展開をさらに進めようとしていることは明らかだ。日本政府は、いたずらに「脅威」を煽るのではなく、徹底した外交努力によって北朝鮮の核と弾道ミサイル問題を解決すべきだ。
4.4月16日に国連安保理は、「さらなるミサイル発射や核実験に踏み切った場合、制裁措置をとる」との議長声明を採択している。北朝鮮は、自ら六ヵ国協議の道を断絶し、「国威発揚」とは裏腹に自国の不利益に繋がる選択をした。また、朝鮮人民軍の最高幹部が「ロケットに核兵器を搭載してアメリカ本土まで飛ばすことができる」と発言していたことは、ミサイルとしての開発が進められていることと判断せざるを得ない。核兵器開発とロケット開発の結合は北東アジアの緊張を高めるだけである。北朝鮮政府には、宇宙空間の平和利用と国際協力を定めた宇宙条約の目的に沿った行動をとるよう求める。日本政府は、国連安保理や六カ国協議関係各国などの国際的な枠組みと協調し、冷静に対応すべきである。
以上