2012年11月13日

環境大臣
 長浜 博行 様

社会民主党
党首 福島みずほ

指定廃棄物の最終処分場建設選定の白紙撤回を求める要請

 昨年3月の福島第一原発事故によって放出された放射性物質は、風や雲に乗って拡散し、雨や雪とともに地表や樹木などに付着した。現在、広範な地域で放射性物質で汚染されたごみ焼却灰、浄水発生土や下水汚泥等が発生し、その処理が懸案となっている。

 放射性物質汚染対処特措法(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法)は、8000ベクレル/キログラム以上の「指定廃棄物」を国の責任において処分することを定め、同法に基づく「基本方針」はこの最終処分地をそれぞれが排出された都道府県内に設けることとしている。

 環境省は、栃木県矢板市と茨城県高萩市の国有林野を指定廃棄物の最終処分場候補地として選定し、本年9月、両自治体に通告した。両市は、突然の通告に強く反発し、全市を挙げての反対運動が巻き起こっている。

 社民党は、10月17日に矢板市、11月7日に高萩市の最終処分場建設候補地をつぶさに視察し、両市の市長や住民等とも意見交換を行なってきたところである。

 ついては、以下の点について要請するものである。

1、地元にまったく知らされず、事前の説明もないまま、いきなり候補地として通告した選定のプロセス自体が住民の反発の背景となっている。政府は矢板、高萩の候補地決定をいったん白紙撤回し、選定のプロセスをやり直すこと。

2、矢板市塩田字大石久保国有林野、高萩市大字上君田字竪石国有林野の両候補地は、ともに豊富な湧水に恵まれた美しい渓谷として知られ、両市の主要な水源地ともなっている。放射性破棄物処分場として適当とは思えない。地域の実情に沿った選定作業を行なうこと。

3、福島県内の対策地域内廃棄物については10万ベクレル/キログラム超の廃棄物は、直接最終処分せずにいったん中間貯蔵施設に保管することとされている。対策地域内廃棄物以外の特定廃棄物(指定廃棄物)についても、10万ベクレル/キログラム超の高濃度の廃棄物を区分し、一律の直接最終処分を行なわないこと。

4、放射性廃棄物が各地に点在することは管理上も問題が多い。放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針を見直し、高濃度の廃棄物は分散廃棄せず、集中管理することとすること。

以上