2013年2月21日
社会民主党
党首 福島みずほ
1.本日法務省は、東京・名古屋・大阪の各拘置所で1人ずつ、計3人の死刑を執行し、死刑囚の氏名や犯罪事実を公表した。同じ日に3人が執行されるのは昨年3月29日以来という異例の事態だ。社民党は死刑制度が人権に反するものとして、その存置に強い疑問を呈してきた立場から、今回の3人の死刑執行に強く抗議する。
2.現安倍政権下での死刑執行は初めてであるが、政権発足から2ヵ月にも満たない中での大量執行は、法務省内に死刑制度に関する勉強会を設置するなど、政権交代前に続けられてきた慎重な議論を無視し、死刑制度を維持・正当化しようとする安倍政権の偏った姿勢の表われであり、厳しく批判しなければならない。谷垣禎一法相は会見で「極めて重大な刑なので、諸般の事情を十分勘案して決めた」と述べたが、そうした姿勢は全く窺えない。
3.1989年の国連総会で「死刑廃止を目指す、自由権第二選択議定書」(死刑廃止条約)が採択されたが、日本はこの条約を未だに批准していない。さらに昨年12月には国連総会で死刑の執行停止を求める決議が採択された。同決議は2007年以来、4回目で、今回は過去最多となる111ヵ国が賛成し、誤審によって死刑が適用された場合に取り返しがつかないことや死刑による犯罪抑止の確証がないことなどを指摘している。死刑の廃止が国際社会の共通の意思となりつつあるなかで、日本政府は度重なる指摘に背を向け、一貫して死刑制度の廃止に向かう世界の流れを無視しつづけている。
4.政府および法務大臣は、国際人権基準に沿った法改正への道筋をつけることが急務だ。死刑制度については、存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方についてより開かれた国民的な議論を尽くし、その間、政府は死刑の執行を停止すべきである。社民党は今後も、死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。
以上