2013年2月23日

日米首脳会談について(談話)

社会民主党
                               幹事長 又市征治

1.本日未明、安倍首相はホワイトハウスでオバマ米大統領との会談を行い、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への日本の参加問題について、「一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められるものではない」とした共同声明を発表した。これにより、安倍首相は懸念が払拭されたとして、交渉参加に踏み出すものと見られる。

 社民党は、TPPが国民生活に及ぼす甚大な悪影響に警鐘を鳴らし続けており、交渉への参加に反対の立場である。安倍首相は、政府の専権事項として早期に参加表明する意向とされているが、まず国民の利益を真摯に考えるべきであり、交渉参加について拙速に判断することのないよう強く求める。

2.日米共同声明では、「全ての物品が交渉対象とされる」との原則論と「関税撤廃例外品目の最終的な結果は交渉の中で決まる」ことが確認されている。TPPについての自民党の総選挙公約には、「『聖域なき関税撤廃』を前提とする限り交渉参加に反対」とあるが、原則論がある限り『聖域なき関税撤廃』が前提になっており、選挙公約違反となる。また、交渉の結果によっては関税撤廃例外品目がゼロとなり、『聖域なき関税撤廃』の断行にも道を開きかねない。「日本を、取り戻す」どころか「日本を、売り渡す」結果にもなりかねない今回の日米共同声明について、安倍首相は国民に納得いく説明をすべきだ。「聖域」とは何を指しているのかも曖昧で、定義を明確に示す必要もある。また公約には、国民皆保険制度を守る、食の安全安心の基準を守る、ISD(投資家対国家間の紛争解決)条項は合意しない――など計6項目あるが、これらは全てパッケージであり、どれ一つ欠けても交渉参加はできないことを安倍首相は国内外に明言すべきだ。さらにTPPに関して、これまでの交渉の経過や日本が参加した場合のデメリットなど、国民が参加の是非を判断する基本的な情報すら未だに開示されていない。こうした状況で交渉参加に踏み出すことなど論外である。社民党は、TPP参加を危惧する広範な団体・個人と一層連携し、参加阻止に全力を尽くす。

3.会談では、日米同盟の強化、核実験を行った北朝鮮に追加制裁を科す国連安保理決議採択に向けた連携、米軍普天間飛行場の早期移設なども確認したとされている。社民党は、北東アジア地域の非核地帯化を目指す立場から、北朝鮮の核実験に抗議する「国会決議」に賛成し、日本政府には外交努力を尽くすことを求めてきた。しかし、今回日米両政府が合意した、米軍の早期警戒レーダーの日本追加配備を含めたミサイル防衛(MD)の協力促進は、かえって北東アジアの緊張関係を高めることになりかねず強い危惧を抱くものである。また、普天間問題についても早期移設を約束し、政府は来月にも辺野古埋め立て申請を沖縄県に行う方針を固めたとされているが、普天間飛行場の即時閉鎖・返還やオスプレイ配備撤回を求める「建白書」に込められた沖縄の民意を黙殺し、負担を強要する政府の姿勢は断じて容認できない。沖縄の声を米国に届け県民を守るのが日本の首相の責務であるが、その責務を放棄した安倍首相に強く抗議する。

4.社民党は、この会談によって、安倍首相が集団的自衛権行使の解釈変更の意思を伝え、「米国と共に戦争ができる日本国」への準備が進行することを許さず、安倍政権に危機感を持つ人々とともに国会内外で奮闘していく。

以上