2013年3月28日
社会民主党幹事長 又市征治
1. 昨年の総選挙直前に緊急是正された衆議院小選挙区定数の「0増5減」に基づき、衆院選挙区画定審議会が本日、新たな区割り案を首相に勧告した。これにより、2010年の国勢調査に当てはめた場合、1票の格差は最大1.998倍となった。2009年の総選挙における最大格差2.30倍を違憲状態と断じた2011年の最高裁判決時と比較すると、格差はかろうじて2倍以内に収まっているものの、今後の人口推移を勘案すれば、ごく近い将来に格差2倍以上の違憲状態に再び達する可能性は極めて高い。「0増5減」の定数是正が、投票価値の平等に真正面から応えるには、ほど遠いことを浮き彫りにしている。
2. おりしも、勧告前に1票の格差が最大2.43倍にまで広がった昨年の総選挙に対する16件の高裁判決が出そろったが、判決は2件が違憲状態、14件が違憲と断じ、14件の違憲判決のうち2件は、総選挙そのものを無効とした。さらに札幌、福岡の両高裁判決は「0増5減」による格差是正について「必要最小限の改定」に過ぎないとして、2011年の最高裁判決が求めた「一人別枠方式」の廃止と質的に異なると指摘している。人口比に忠実な「21増21減」とも異なり、この点からも「0増5減」の不十分さは疑いのないところである。
3. また、現在97の市区町が複数の選挙区に分割されているが、平成の大合併を経た今回の区割りによって、さらに分割市区町が増加したものと推察される。この点、区割りにあたっては、行政区画を考慮して合理的に行われなければならないとした選挙区画定審議会設置法の趣旨から現実がかい離しており、分割市区町の有権者ならびに立候補者に、分かりづらさや混乱を与えている。
4. 社民党は、一連の高裁判決と今回の区割り勧告を受け、立法府の責任を自覚し、違憲状態を一刻も早く解消するため、各党間協議を再開するよう求める。その際、投票価値の平等、あるいは区割りの合理性を考えた場合、それらを保障するには小選挙区制度そのものに限界があると考える。また、昨年の総選挙において、小選挙区で自民党が43%の得票率で議席総数の79%を占有した。小選挙区制度が民意を切り捨て、多くの死票を生み出す制度であることは、もはや明白である。この点、1票の格差の解消と同時に民意を的確に議席数に反映させることが求められており、社民党は、比例代表選挙を中心とした選挙制度への抜本改革を主張していく。
以上