2013年4月16日
社民党水俣病対策特別委員会
委員長 吉川 元
1. 最高裁は本日、水俣病未認定患者の遺族が熊本県に水俣病認定を求めた2件の訴訟のうち、福岡高裁が同県に認定を命じ、県側が上告していた件について原告勝訴とし、行政が認めなかった患者を最高裁が認定する初の判断を下した。また、大阪高裁が患者と認めなかった上告審については差し戻しを命じた。
2. 水俣病の認定にあたっては、これまで旧環境庁が1977年に示した現行基準によって、手足の感覚障害と同時に他の症状の組み合わせが求められ、多くの患者が未認定とされてきた。今回の最高裁判決は、国の水俣病認定基準が妥当かどうかの判断は示さなかったものの、「感覚障害だけの患者がいないという科学的実証はない」として、他の症状との組み合わせがなくても認定の余地があることを指摘した。このことは、事実上、現行の認定基準では不十分であることを明らかにしたものである。
3. 公式確認からすでに半世紀以上が経過し、公害の原点といわれる水俣病の認定をめぐり、いまなお訴訟が続いている現実を踏まえれば、最高裁判決を重く受け止め、国は現行認定基準の見直しを直ちに検討すべきである。合わせて、水俣病の被害の全容を解明し、すべての患者を救済するために、国、県そして原因企業チッソの責任で、不知火海沿岸住民の健康実態調査に着手することを求める。
以上