2013年5月23日
内閣府特命担当大臣(少子化対策)
森まさこ様
社会民主党 党首 福島みずほ
社会民主党女性自治体議員団
森大臣が主宰する「少子化危機突破タスクフォース」は、5月7日に開催された会議で、「妊娠・出産検討チーム」の検討結果を受け、国に「生命と女性の手帳(仮称)」の導入を提案することで一致しました。同手帳は、晩婚・晩産化対策として、妊娠適齢期等妊娠・出産知識や支援情報等を記載し、本人の健康データ等を記録するという内容で10代の女性から配布を行うという案です。内閣府などの関係省庁が検討会議をつくり、本年度中に具体化して来年度から普及を目指すとしています。
この提案に私たちは非常に違和感と危機感を覚えます。国が妊娠・出産の選択や個人の生き方に介入し、「女性は若いうちに出産を」と奨励するのではないかと感じるからです。
前回の安倍晋三政権は、性教育やジェンダー問題に関して執拗に攻撃を繰り返し、「女は産む機械」と発言した厚労大臣もいました。今回、安倍首相は経済界に対し「3年間の育児休業」を推進するよう求めていますが、これは女性を家庭に回帰させ、男性を育児から遠ざけるものであり、男女のワークライフバランスの実現とはかけ離れています。さらに、憲法の改定を標榜し、個人の尊重の形骸化、婚姻・家族に関する国の介入を図ろうとしています。私たちは、こうした一連の動きを決して容認することはできません。
タスクフォースは、「結婚・妊娠・出産・育児」に関する国民の希望が叶えられない阻害要因の解消を検討していますが、阻害要因は、不安定雇用や格差の拡大によって若者が将来に希望をもてないこと、子ども・子育て、若者への支援が非常に弱いこと、そして多様なライフスタイル、家族、セクシュアリティを等しく尊重し支える姿勢がないからです。
私たちは、森大臣が第三次男女共同参画基本計画「生涯を通じた女性の健康支援」に示したリプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点を貫いて職務を遂行こと要請し、以下の二点について申し入れを行います。
記
1,「生命と女性の手帳(仮称)」について検討を行わず中止し、国が妊娠・出産の選択や個人の生き方に介入する施策を行わないこと
2,男女の分け隔てなく成長段階にみあった性教育を充実し、子どもや若者がリプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点から、からだと性に関する正確な知識を得ることができるようにすること
以上