2013年4月9日
社会民主党
1.3月12日、政府主催の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を、サンフランシスコ講和条約が発効した4月28日に合わせて開催することが、唐突に閣議決定された。安倍首相はその理由を、「敗戦から7年間の長い占領期間を知らない若者の増加」「わが国の国際社会の平和と繁栄への貢献の意義を確認する」としている。しかし、沖縄、奄美、小笠原にとっては、本土の主権回復と引き換えに、条約第3条によって米軍の施政権下に置かれ、日本国憲法は適用されず、警察権、司法権も及ばない状況に放り出された「屈辱の日」である。社民党は、切り捨てや苦難の歴史を無視した式典の開催に対して強く抗議し、中止を求めるものである。
2.サンフランシスコ講和条約の発効以後、本土では基地の縮小が図られる一方で、沖縄では銃剣とブルドーザーによる強制的な土地接収によって米軍基地の拡大が行われた。1972年5月15日の本土「復帰」後も県民の願いである「平和憲法の下での復帰、基地のない沖縄」は実現されず、在日米軍基地の74%が沖縄に集中し、県民の人権と生命の安全が侵害される状況が今日も続く「半主権状態」のままである。「沖縄県民の気持ちに十分留意して行う」「沖縄の苦難の歴史を忘れてはいけない」と安倍首相は言っているが、県議会の全会一致での抗議決議採択に見られるように、沖縄の民意は既に示されている。沖縄県民の心を踏みにじっての記念式典など独善に過ぎず、断行は許されない。また安倍首相は、沖縄への配慮から5月15日にも「沖縄返還式典」の開催を検討する意向ともされているが、4・28式典ありきの後付けに過ぎない。政府は「半主権状態」の改善に腰を据えて取り組むことこそ先決である。
3.自民党の『4月28日を主権回復記念日にする議員連盟』の設立趣意書には、「自主憲法と国防軍を創設することは主権国家として最優先手順であった」とある。また、自民党「日本国憲法改正草案」は、国家の権限を拡大する一方で国民の権利を大幅に制限するものとなっており、これらからは自民党「改正草案」と式典開催が密接な関係にあることがうかがえる。しかし、1947年の日本国憲法施行によって「国民主権」が確立されたからこそ戦後日本の民主化が国際社会から認められ、講和条約発効によって「国家主権」を回復したのであって、「平和憲法なくして講和条約なし」「国民主権なくして国家主権なし」という歴史の事実を歪曲することは出来ない。「国家主権」の回復を記念するこの式典が改憲の地ならしに向けたセレモニーであることは明白であり、認められない。
4.在日米軍にまつわる「日米安保条約」「日米地位協定」「思いやり予算」の存在は、沖縄ばかりでなく日本全体に大きな影響を及ぼしている。社民党は、米軍基地の整理・縮小・撤去や日米地位協定の全面改正に着手することこそ、真の「主権回復」であると考える。米国のいいなりになってオスプレイ配備や普天間基地の県内移設を容認する政府が「主権回復」を唱えていることの矛盾を直視し、式典を中止すべきだ。社民党は、沖縄をはじめ米軍基地の存在に苦しめられている全国の仲間と共に抗議の意思を示していく。
以上