2000年11月26日

COP6の閉幕にあたって(談話)

社会民主党環境部会
部会長 大渕絹子

  1.  地球温暖化を防止するための気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)は、日米とEU・途上国間の対立点が解消せず、温室効果ガスの削減を具体的に進めていくための合意には至らなかった。決裂の主要な原因は、日本やアメリカが森林の二酸化炭素吸収量を最大限認めさせようとしたことにあり、自国の主張に固執した日本政府やアメリカの責任は重大である。

  2.  日本政府はCOP6において、(1)森林による二酸化炭素吸収の算定率を高くすること、(2)排出量取引やクリーン開発メカニズムなどの京都メカニズムの利用には制限を設けないこと、(3)途上国への植林を先進国の削減分としてカウントすること、(4)原発建設を温暖化ガス削減事業と認めること、(5)目標未達成国に対し厳しい遵守措置は取らないことなど、到底合意には達し得ない主張を繰り返すことに終始した。
     京都会議議長国として期待されていた「調整役」としての役割をも放棄し、産業界の利益を代弁するその姿は醜態の一語につきる。
     日本政府の対応には、地球温暖化に対する危機意識は微塵も感じられず、各国政府やNGOが、日本はアメリカと同様、京都議定書をつぶそうとしていると厳しく批判したのは当然である。社民党も怒りを禁じえない。

  3.  政府は、途上国への原子力発電の建設を、二酸化炭素の削減量にカウントするよう要求しているが、世界の流れは脱原発に向かっており、アメリカですら途上国への原発輸出に難色を示している以上、このような主張が受け入れられるはずもない。温暖化対策を理由に原子力発電の立地を推進することは断じて容認できない。
     社民党は従来から、地球温暖化を防止していくためには、排出権取引やクリーン開発メカニズムなどの柔軟措置に依存するのではなく、排出源対策だけで削減目標の達成を図るべきだと主張してきた。政府はこの認識を基にして世界各国と合意形成を図り、国内対策を推進していくべきである。